自問の話
自分のやるべきことを自分の心に聞く。
自問
やるべきことなんてもう、ない。
何も残らないし、何ももうすることなんてない。
けど、草木に囲まれたあの一本の電灯を見ていると何だかそれでも。
自分のしたいことはしたくなる。
残らなくていいから。
電灯は氷のような冷たい青の色。夜をそれでも照らす。
彼は上を向く。
もうやることはない。
でも。
どうしてか。
自分の心へと聞く。
冷たい氷のようになった自分の心はいう。
『残らなくてもいい』
バカな心だ。
なのに、笑えない。
だから、口だけでも笑う。
「わかった。心がそういうなら、俺の気持ちなんだろ?わかった」
そこへ誰かが来る。
小さな少女と小さな浮いた犬は電灯の前に来る。
少女は上向く。
「冷たそう!」
犬姿はいう。
「自問の電灯か……」
「じもん?」
「自分のするべきことがわかるといわれている」
少女は自分の胸の前で拳を作る。
「自分の…………」
が、
「自分のするべきなんてわかんないよ!よーし!次行こ!ルー」
少女は行ってしまう。
こどもが来たから先にいた彼は何となく隠れた。
「…………するべきは………わかってる気がするんだけどさ………何だろうな」
心は本当にわかっているのだろうか?
案外思い込んでするべきことって決まっていくのかもしれない。




