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朝が来る話
朝がくる。
朝が来るとき、空は。
少し、歪みがうまれる。
闇色は少しずつゆっくりと光によって色を変えていく。
闇は、嫌いではない。
けれど朝が来ると闇を払うのではなくて、温かい光が包み込んでいると思いたい。
朝が来るとき、ソラは何を思うんだろう。
「空…明るくなったね。ルー」
ルーは起きていて座るソラの隣で浮いている。
「朝は、嫌い。夜は…怖いけど、でも怖いからこそ夜は好き」
ソラはそんなことをいう。
「朝は嫌いか?おぬし」
でも、ソラはたとえ嫌いでも嫌いにはならない。
だからいう。
「嫌い。でも、朝が来ると進まなきゃって思えるよ」
ソラは立ち上がると、後ろの大きな木を見る。
「私行くね、木さん」
ソラは進む。
また進む。朝が来たから。
大嫌いな朝だからこそ、進む。