嘘の話
嘘をつくのは悪いことだ。
嘘はついてはいけない。
嘘をついてはいけない。
嘘とは、身を滅ぼす時ともある。
嘘をついてはいけない場所の話。
「僕はさ、嘘をついたことがないんだ。すごいでしょう?だから嘘の塔に呼ばれたんだ」
嘘の塔は嘘をつかなかったものが呼ばれる。
嘘をついたことのない僕は、呼ばれた。
て、嘘なんだけどね。
嘘しかついたことない。
というか、嘘をつかないなんて、なくない?
嘘だって必要な時はある。
僕は嘘の塔へとつく。
呼ばれたのは本当。
けど。
嘘の塔。
嘘のもの。
ローブを着た女性がいる。
「嘘の塔へと呼ばれた理由はわかりますか?」
もちろんわかる。
「僕は大嘘つきです。でも、嘘も必要と思い、僕は嘘をついてきました。正直なんて、よくないですよ」
「なるほど…」
何かかかれてる。
まあいいや。
あれでしょ。
よくある。
僕は消されちゃうとか。
あるよね?
でもいいんだ。
嘘をついてはいけないなんて間違ってる。
僕は自分の勝手にしゃべる。
「嘘をつかないなんてよくないです。嘘をつくことで身を守れます。僕は嘘をつくことも大事と思います」
女性は、僕の話にうなずく。
「そうですか。あなたは…」
連れてかれて、終わりってとこかな。
まあいいや。
それもありだ。
女性は、笑う。
「では、あなたは嘘の塔の仕事社員として採用です」
「!?え………?え?」
あれー?
ここは終わりです!
とかじゃ。
あ!これは嘘だな。
あれだろ?実は嘘でーすとか。
女性はこちらへと来る。
「そう!あなたは私たち嘘の塔のものと同じです。そうなんです。言われたことをそのままよりも考えて動く!それが必要なのです!」
あれ?
「あの、これは嘘じゃ………?」
「嘘の塔のものは全てこの場所に疑問を持ち、考えている人たちの場所です」
僕は、どうやら。
本当に嘘をついてきてよかったかもしれない。
この場所に疑問?とか、何かしら思って。
嘘の塔へ。
少女がやってきた。
僕があれから、このローブ着て、生きてくことになるとは。
まあ、そういうこと………あるのかな。
「嘘の塔ってなんですか?」
小さな少女は質問してくる。
とても好奇心のある女の子のようだ。
僕は嘘はつかずに答える。
「この場所で本当にそうなのかなって考えた人たちの集まる所です」
「そうなのかな…ですか?」
僕はにこりとする。
「うん、でも。ほら、ここのルール見ましたよね?」
「嘘をつくとだめ…ですか?」
「はい。なので、嘘はつかないようにした方が安全ですね」
と、小さな少女を見送る。
僕は嘘の塔にいる。
そう、嘘の塔だけが考えることを許された場所…みたいだ。
僕はまあ、危なかったのかもしれない。
嘘の塔にもしも、呼ばれなかったら。




