まだ、まだ…の話
まだ、まだ…………。
何でだろう。まだ、まだって、思ってしまう。
もう………………。
俺の方へ小さな少女が歩いてくる。
俺は下を向きそうになり上を向く。
まだ、まだって、思ってしまう。
忘れそうになる。
俺のこと。
まだ、まだ…………。
バカみたいだな。
少し、ケガしてなんか、時間空いて、なんか今までのとか、俺何してんだろ。
バカみたいだな。
俺の右足は白い足型みたいな白いのをつけてる。
少し、骨折しただけだ。
動きづらくて、他から同情?いや、かわいそうなもの見るみたいな顔されて。
それなのに、まだ、まだ…………。
バカみたいだな。俺。
悲しくなる。
ゆっくりとたって、松葉杖をつく。
動きづらくて。
でも、治るから。
まだ治るから、骨はくっつくから、まだいいと思う。
でも。
なんか、もう今までしてたこととかどうでもよくなる。
「…………」
治るから、まだいいけど、早く治りたいな…………
「普段近づいてこないのに、人にいい顔したいのか近づいてくる奴とか本当腹立つ」
小さな少女はビクッとする。
「あ!ごめん!?えと」
少女を驚かせてしまった。
申し訳ない。
少女は答える。
「あ、大丈夫です!びっくりしてごめんなさい!」
小さな少女は行ってしまう。
俺は「あ………」といだけいう。
骨折して、よくはないけど、人がどういう風に変わるのかは見れた。
まあ、いいか。
「人って、急に変わるよな。まあ、それを少しでもわかったし、骨折も…………いや、骨折は二度としたくない」
俺は、これからどうしようかなとなるが。
松葉杖をついて、歩き出す。
てか、本当歩きづらい。
この白いの外して、またつけるのも正直めんどくさい………。
「………………でも、こうなってからわかったこともあるよな。いいとは思わないけど」
俺はニッと笑う。
治るんだ。まだいいことだ。
文句いうなよ。俺。
「まだ、まだ、俺は……下向いてられっかよ」




