地下の話
小さな少女。
ソラ。
浮いた小さな犬の姿。
ルー。
荒野を歩くと花が咲く場所が不自然にあり近づく。
そこには階段がある。
降りていくと
そこは。
広い地下空間。
茶色に白が混ざる壁。
そして、広い空間に置かれるのはクリーム色の城のようなもの一つ。
ソラは、大きな洋風の城にわあっと、走り、まずは庭園のような玄関前をウロウロすると多くの土でできた人形がある。
といっても、人ではなく動物の人形が置かれている。
他にも土でできた木や、土でできた花のようなものまである。
ソラは、さわると壊れそうでさわらない。
ソラは騒がしい。
「ルー!見てみて!土の人形さんいっぱい!」
ルーはたしかに多いと思う。
「多いな」
ソラが騒がしかったからか。
「私の人形………気に入った?」
後ろから声をかけられた。
ソラは、びっくりして固まる。
土人形のように。
そこにいたのはとても陶器のように白い顔。ぱっちりとした紫の瞳。ピンク色の長い髪。お姫様という言葉が似合う少女。
ルーは、さっと、土人形を見にいってしまう。
ソラはあわてて。
「す、すみません、誰もいないと思って何も壊してません!」
少女は、かわいらしい笑みをする。
「私が作ったの。」
「作れるんですか!?これ!?」
「ええ」
「すごいです!どうやってですか!?」
ソラは、彼女の土人形を作る姿を見る。
彼女は膝を地面につける座ると手のひらに茶の形が現れ、それをちぎって、つないで作っていく。
最初は何を作ってるかわからないのに。
完成してしまう。
「わあ!えーっと!これは………」
ソラはすぐ出てこない。
彼女は何も不機嫌にならず笑う。
「鳥よ?ふふっ」
「す、すみません!鳥ですね!」
ソラと少女は笑い合う。
ルーはというと。
体がやはり土人形のように固まっていた。
「…………」
静かにソラの元へと戻る。
ソラはそういえばと思う。
「どうしてここにいるんですか?」
少女は笑顔で答える。
「ここでうまれたからよ」
「ここでうまれたんですね!」
「ええ」
そこへ、ルーが来る。
「おぬし。そろそろ行くぞ」
少女は人形のように笑う。
「まだいていいのよ?」
ルーは丁寧に断る。
「悪いが、我たちは“もう行く”」
少女は、わかりやすくしゅんと下を向いたが仕方ない顔をする。
「そう。“よかった”さようなら。あなたたち」
ソラは「えー!もう!?」というが、ルーはこどもへいうように。
「これ以上いたら迷惑だ」
「あ、そうだね……あの、土人形すてきでした。えっと、さよなら……です」
陶器のように少女は笑って手を振る。
ソラとルーは行ってしまう。
少女は、城を背景に土人形の中を歩く。
その先。
何かを隠すようにして一つ木が置かれる。
土でできた木のように思える。
その後ろにあるのは。
人の形をしたものが一つ。
少女はその右頬にふれる。
「…………………………あの子……行っちゃった。あのもう一人、気づいたのね」
少女は土人形へいう。
「…………………でも、あなたがいるからさみしくないわ」
陶器のように、けど恋する女の子のようにほんのりと頬を染めた少女が一人。
その地下には存在していた。




