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空の存在  作者: 進道勇気
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彼の優しさの話

優しさとは?

よく、お前ひでえな。

お前には優しさがないといわれる僕には。

優しさなんてどうでもいい話。


僕は孤独好きで、人といなかったからか気づかい?を知らない。

あと、優しくするッテ何?


そんなことに意味あるの?

優しくして、相手もかえしてくれる?

優しさを。


町中で。小さな少女は転ぶ。

僕の前で。

無視してもいい。

でも、膝痛そう。


僕は。


少女に手を差し出す。

少女は目をまん丸くして、僕の手をつかんで立つ。


痛そうな膝に。

僕は、少女に「待ってて」という。

僕は手に布持ってくる。

消毒するものはこの町では高くて手が出せない。


だけど、麻布をせめて、渡す。

渡すだけ。


「うちにこれがあったから、けがしたとこ、つけたら?」


少女は笑顔で笑う。


「ありがとうございます!お兄さん!」


少女はきちんと頭下げて行ってしまう。


「……………………………」


なに?

僕は優しくはないけど、相手に気をつかったって?

別に。

あの麻の布、うちにあって勝手に持ってきただけだし。


優しさとは何?

知らないよ。

優しさなんて

知らない。


目の前にいて、何もしないで無視もどうかと思うだろ?

目の前でだぞ?

遠くだったら、見てないなら知らないよ。

優しさ?

これが優しいって思うなら

まだまだだね。

こんなの優しさじゃない。


優しさっていうのは。


僕は頭の後ろで腕を組む。


「本当に誰かを思うってことじゃない?」


知らないけど。

僕、今のあの子のこと思ってないし。

痛そうだなって、思っただけ。

それだけ。

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