手紙の話
私は手紙を書く。
手紙を書く。
伝わらない。
あなたへは届くことなくても。
この手紙を書く。
『私は、あなたの花のようにふわっとした声がずっと好きです。小さい頃にあなたの声を聞き、歌を聞き、私はいつのまにかあなたの声が大好きになりました。いつから好きなのか、あなたのことも知らないのに、私はどうしてこんなにもあなたを好きになってしまったのか理由がわからないんです。いつのまにか元気をもらっていました。ありがとうございます。あなたへこの手紙は届かないことはわかります。それでもあなたへ伝えたいです。あなたのことは知らないです。会ったこともないですが、あなたの声が大好きです』
ソラは浜辺で少し水に浸かるびんを拾う。
その手紙はびんの中に入っていた。
その手紙を拾った。
ソラは、ルーへ手紙を見せると内容を読んだ。
ルーは感想をいう。
「花のような声のあなた……か」
「花のような声ってどんな声かな?」
いいながら、ソラは手紙をびんへと入れる。
ルーはソラの行動に不思議がる。
「どうするんだ?」
「…………もう一回海へ!」
「まてまてまて!おぬし!せっかくここについたのに」
ソラは泣きそうな顔で。
「ここじゃなくて、もっと遠くかも!」
「待て!なら………」
ルーはまわりを見る。
「我ではどうにもできない………か」
ルーは考える。
せっかくの手紙。
誰かの思い。
何か、ないだろうか。
ソラはルーへ聞く。
「私、何かできる?」
「できることはない」
ルーは、手紙を小さく折りたたむ。
捨てることはできない。
捨てるなんてできない。
手紙を捨てられない。
誰かも知らないものの手紙なんて捨てればいいのにと。
思うが。
その手紙は強い風が吹いて、飛んでいってしまう。
ソラは一言。
「あ…」
ルーは正直。
思いは重いから持ち続けるのは嫌であった。
ソラとルーは空を見る。
青空を見つめる。
手紙は、透明なびんから解放されたからか、ひらり、ひらりと自由に飛んでいく。
その光景をソラは何もいわずに見つめる。
ルーは、小さくいう。
「思いなんて、我には…重すぎる」




