どうして?の話
僕からみんなが逃げる。
離れる。
どこかへ行く。
目が合うと、走って行く。
どうして?
僕は、水たまりをのぞく。
そこには、怪物がいた。
気付く。
だから逃げられた。
僕は。
近づく。
逃げられる。
僕を見もしない。
僕は、何も攻撃もしてないのに。
「ボクハ…………」
武器を向けられ逃げるしかない。
僕は
どうして?
どうして?
どうして?
どうして?
遠くに小さな少女がいる。
彼女も逃げるだろう。
少女へ近づく。
でも、少女と目が合ったと思うが逃げない。
どうして?
「ドウシテ、ニゲナイノ?」
小さな少女は、笑う。
怖さもバカにするような顔でもない。
「私逃げるんですか?」
「……エ、コワクナイノ?」
「んー。なんか怖いです!」
少女は正直だ。
「でも、私に何もしないのに怖いとかないです」
「…………………エ……ソウ?」
「はい!」
少女は、ニコリとする。
怖がらないというのは逆に怖い。
「…………ア………アノ、ボク………コワクナイッテ、イワレテ…ウレシイ………?カモ」
「あ………えと、怖がった方がいいですか?」
「………イ、イヤ……ハナシモ、イママデ……デキナカッタカラ…………」
少女といつのまにか僕は遠くの雲を見ながら座って話をした。
少女の話は何だか楽しくて、いつのまにか空が茜色になる。
少女はソラという名前と知った。
僕もライという名前を名乗る。
「…………ア、アノ、マタ、イツカ…アエルカナ?」
ソラが旅をしてるなら、きっと無理だと思えるが。
でも。
また、会えたら。
ソラは。
「もう会えないと思います」
「……………ソッカ…………アリガトウ……ソラ…」
僕から逃げなかった。
僕を見てくれた。
それでいい。
それでいい。
それをしてくれた。
ソラは気づいてないかもしれないけど僕は救われた。
「ボクモ、ドコカニ………イクヨ」
「じゃあ!ライさんは旅仲間ですね!」
「………ナカ、マ…?」
「えーっと!ルーがいってました!同じは仲間って」
「…………ナカマ………ウン、ナカマ」
ソラは、僕の怪物の手を両手で掴む。
そっと。
僕の目を見て。
「ライさんは仲間です!」
ナカマ…………。
僕は仲間。
仲間。
僕は、うまく笑えてるかわからないけど。
僕は笑顔を作った気がする。
「ウン、ナカマ」
ソラと別れて、僕は。
僕もどこかへ行く。
ソラと会えてよかった。
ソラが同じ世界にいるなら。
仲間なら
僕だって進める。
進んだどこかで、また会えるといいな。




