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空の存在  作者: 進道勇気
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もういいの話

少年は、一人。

町中の建物と建物の間にいた。

壁に背中をつける。

一人でブツブツという。


「もういい、もういいんだ」


「でも…これからどうしよう」


それしかいわない。

これからのことを想像する。

一つのみ。他のことは考えることはないと思う。


「でも…………でも…………」


もういいや、やめよう。

何かを思うのも

何かをしようとするのも。

うん、やめよう

やめればいいんだ。

余計なことはしない。

余計なことはしない。

うん、どうしようなんて、考えるのもバカバカしい。

うん、やめよう。


少年は、建物から出ようとした。


「もう、やめよう。うん、そうしよう」



ルーは後ろにいた。

少年の後ろに。

少年の続きの言葉をいう。


「もういい、もういいんだ?か?」


少年は、目を開く。


「僕の考えてたこと………?え?犬!?しゃべってる!?」


少年は後ろへと後ずさる。


「あ、あ、う…わ」


ルーは静かにいう。


「静かにしろ。もういいのか?」


「もういいよ、もういい。どうでもいい」


ルーは「そうか」とあっさりと後ろを向く。

だが、これはいう。


「我を見てるみたいで腹がたつ」


少年は。


「え?」


ルーは行ってしまう。


少年は、何もいえない。

何だったのか。

一体。


「もういい…………よね…?僕………?」


自分へと質問するように少年は、つぶやいた。




町のはじっこ。

小さな少女。

ソラは、走ってくる。

ルーを見つけて。


「ルー!いた!もう!探したよ!」


ソラはルーを抱きしめる。

強く。

ルーは苦しい。


「おぬし、強い…………」


「ごめん!もう、ルーは、たまにいなくなる!」


泣きそうな、いやソラは泣いている。

ルーは小さく謝る。


「…………す、すまない」


「でも………でも、ルーが見つかってよかったあああ……………」


「す…………すまなかったから……泣くな」


ルーはソラに泣かれると弱い。

ソラは、笑顔になると、ルーを抱きしめたまま。

ソラとルーは進む。


ルー。


「………離してくれないか?おぬし」


ソラは。


「やだ!離さない!」


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