誰かの話
ここには、多くの存在を作ったものがいる。
そのものたちを観察する彼女がいる。
まだ、観察するものは少ない。
少しずつ増やしていく。
彼女は一人。
黒の服を着る。
彼女は、観察したい。
支配したい。
増やす。
探す。
そして、ここには少女のまわりと、他にも透明なガラス玉が天井まで飾られている。
少女の近くにも、いくつか並べられている。
彼女はお気に入りは近くにガラス玉を置き、他はもしかしたら後ろ側に飾ってるのかもしれない。
「まだ足りないなあ……はあ、もっと、増やさないと!」
そこへ、誰か来る。
一人でその場所にいる少女は、後ろを向く。
そこには小さな少女がいた。
その隣には犬の姿の浮いてる動物。
それを見た彼女は、ニコッとする。
「ソラとルーね。はじめまして」
ソラは、まわりをキョロキョロして、たたと、ガラス玉を見はじめる。
その様子に彼女はイラッとする。
「…ガラス玉に近づかないでくれる?」
ソラは、後ろへと下がる。
「すみません……………」
わかりやすく反省する。
彼女は、その反応に少しズキッとする。
でも
「ねえ、ガラス玉気になる?」
ソラは質問する。
「?これは何ですか?」
彼女は、一つのガラス玉の前に来て、両手で持つと思いきり持ち上げ、手を離す。
ガラス玉は地面へと落ちる。
ガシャンと割れる。
彼女はクスリとする。
「誰かは、一度終わって、またはじまる」
「?」
ソラは頭を傾ける。
「少し、透明に緑が混ざると、その何かは何かをしたの、だから、壊しちゃうの。もう一度、新たにはじめさせるために」
「………………………すみません!何いってるかわかんないです!」
何いってるのかわからない。
ソラは思う。
思ったことを思いきり叫んだ。
「腐ってしまったから、はじめさせるの新しい道を」
彼女ははっきりという。
「何でも腐りきってしまうときがあるから、私は作ったものを壊して、もう一度どうにかしたいの」
ソラはいう。
「…………どうしてですか?」
「…………どうしてかな。またやり直してほしいのかも、どんな存在になってたとしても」
「…やりなおす……ですか?」
「ここではやり直せて、どうにかなるから」
ソラは、その言葉は強く心に響く。
なぜか。
ソラはうなずいておく。
「そ、そうなんですね!」
そんなソラへ彼女は、意地悪くいう。
「あなたはやり直せないかもね。もう、二度と」
ソラは黙る。
ルーは、静かにしていたが隣でいう。
「やり直せないからこそ、毎日必死になれるんだ。そうは思わないか?」
彼女はふふっとする。
「現実はやり直せないなんて、一生で、死ぬまでの苦しみね。かわいそう。あなたたち」
ルーは。
その言葉へ吐き捨てるように答える。
邪悪な笑みもそえて。
「かわいそうでかまわない。我たちはそこからもう逃げられないからな」
彼女はまだ悪態をつく。
「逃げたいの?一度しかない人生ってやつから?本当にかわいそうで悲しいね」
ルーは即答。
「逃げたいし、今すぐにでも終わらせたい。でも、できない。」
「やっぱりかわいそう」
「……………」
ルーは言い返せなくなる。
ソラは、そんな嫌な会話をしてるとこに入ってくる。
ソラは、必死にいう。
「やり直せない?もん!いいもん!仕方ないってやつだもん!でもでも、私たちは行くもん!」
彼女は、黙ってソラを見る。
ソラは、ルーを抱きしめて。
「私たちは!一度しかない………あれ?一度しかないけど!…えっと、行くもん!」
彼女は。
ソラの目に必死なその姿にどこか、目をそらしたくなる。
彼女は、ソラの目を見ていう。
「かわいそうな二人ね。でも、行けば?行くんでしょ?」
ソラは、純粋にかわいらしく笑って返事をする。
「行きます!ルーと!」
ルーは目を開く。
「おぬし……」
二人は消えていく。
彼女は。
ガラス玉を見てからいう。
「やり直せないなんて、かわいそう。かわいそうだけど……」
彼女はふっと笑うと、顔を振る。
「一度しかないあなたたちは…………やっぱり悲しいわね」




