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空の存在  作者: 進道勇気
36/215

好の話

好きは地獄。

好きは地獄ではなくても。

好きのせいで彼は好きになってしまった女性を苦しめてしまう。

いや、彼女を…。

彼は人を好きになってはいけなかった。


なぜなら

彼は、愛毒あいどくという存在だったから。

彼の一族は恋毒こいどく愛毒あいどくの小びんを勝手に飲んだことでそういう存在になってしまった。


誰にも好きになった相手を誰にも渡さないために。


彼は、自分のそういうことを知り、人を好きになってはいけないと思った。

好きにはならない。

一人旅をする。


特に彼は愛毒というものがあり、人に好かれ、自分が好きになった時。


相手の中に毒を発生させる。

ふれあわなくても発生のため、はっきりいって危険な存在。


といっても、人に好かれることは関わらなければそんなことにならない。

が、彼はなぜか、女性に集まられてしまう。

が、彼は好意をもたかなかった。


ある町である彼女と出会ってしまう。

彼女は、彼に一目ぼれをしてしまう。

彼は、容姿が悲しいほどに美しく本人は気づいてはいなかった。

彼女は、積極的に彼と話をした。

彼は、最初よく話す人とは思ってたが。

彼女の嘘のなく、素直な所にひかれてしまう。

なぜか、ひかれていた。


彼女を、彼は好きになっていた。



一緒にいたかった。

ずっといたかった。

ずっとこの時間が続けばいいのに。

好きにはならなければ、続く。

好きは地獄。




彼女から早く離れるべきだった。

なのに。


「あなたが好きです」


彼女にそういわれて、うれしくて。


彼女を、確実に好きとわかってしまう。


でも、彼女は苦しみ、膝をつく。


愛毒は、心をむしばみ、人を……………。

それが彼という存在。

彼は、もっと早くこうしてればよかった。

もっと早くに。

自分を終わらせればよかった。


「好きじゃ…………ない」


嘘だった。

彼は彼女へ好きと伝えなかった。

自分を………終わらせた。





彼女は、横たわる彼の手を掴む。


「…嫌だ…」


彼女は、愛毒の存在を知っていた。

愛毒には特徴がある。

それは、手首のきずあと。

愛毒という存在を知る理由は。

この町で愛毒によって共に終わったものがいたから。


彼女は最初から知り、共にと思っていた。

彼女は、愛毒という存在に会いたかった。

会い、その人を好きになり、終わりたかった。

一緒に…………。

それが、とても悪いことでも。


「どうして………一人でいったの……?私は?置いてかれるの?」


彼は終わり、彼女に発生した毒は消えた。

彼女は残った。






ソラは、ある町にいた。

そこに町を歩く女性がいた。

彼女は、ソラと通り過ぎる。

ソラは、暗い目をした彼女の横顔を見た。


「…」


彼女は、ここにいる。

追えなかった。

終えなかった。


彼女にとって

好きは地獄。

彼という存在は特殊だった。

前に進むことができる人もいるらしい。

前に進んで何もないふりなんてできない。

彼女は好きという地獄を

終わるときまで

終わらせない。

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