ソラ探しの話
金色髪。キツネ耳の少女。
彼女は不思議な場所を巡り、その場所を記憶する。
彼女マーティッカは不思議な場所に行くという気持ちのみとなる。
それ以外の感情を持たなくなる。
途中まであった心も消え、とにかく記憶するためにだけ向かう。
マーティッカはそういう存在だ。
そんな彼女はふと、思った。
自分は何が好きなのか。
自分は何かしたいことはあるのか?
マーティッカは考えながら巡っていく。
そんな彼女はある少女の名前を知ろうと思った。
今まで出会った者たちはマーティッカのことはまだ幼いので可愛がったり、冷たくしたりとされた。
が、マーティッカは一度興味を持ち、けれど考えなくなった。
考える必要がないから。
あまり考えず向かう。
転んでも特に痛いもなく歩き続ける。
記憶さえすればそれでいい。
けれど、マーティッカは自分探しを始めた。
自分を探しているときに、小さな少女と出会った。
マーティッカは特に運命は感じてない。
ただ、一瞬でもマーティッカは少女が自分のことを気にしたことを感じた。
だからなのか。
「あの女の子の名前、知りたい…………のかな?」
マーティッカは歩きだす。
不思議場所を巡っても彼女のことは気になった。
不思議な気持ちだ。
気にしない。
分かろうとも思わない。
マーティッカはけど、知りたいと動きだした。
自分探しから少女探しと変わった。
変わった。
「あの女の子、どうしてかな」
マーティッカは不思議そうにした。
彼女の今来ている不思議場所は大きなビンが多く置かれている。
ビンの中から出てくるのは、銀色に闇が混ぜられたようなボタンが五つ密集された飾り。
マーティッカはその飾りを見つめる。
記憶するためにいるのだ。
とにかく記憶する。
マーティッカはそのためにいる。
「記憶、しないと」
マーティッカはそのために、飾りへ触ろうともし、その場で飛ぶ。
だが、避けられる。
「…………さわらせて」
だが、避けられる。
マーティッカは諦めると地面に落ちる飾りがある。
触れると思い、近づくと飾りは壊れているようだ。
「壊れてる」
マーティッカは他の方へ行けばいい。
だが。
「治したい、のかな?」
マーティッカは飾りを持つと、近くに座る。
「治しかた、は………」
飾りは折れていたりしている。
「折れてる……………。どこ?」
折れた破片を集めてくると、ビンたちはマーティッカを見つめるようにして、彼女へ何か渡す。
接着剤だろうか?
それは飾りをくっつけたりするための道具。
マーティッカは破片をつなげていく。
つなげる形を地面に置いてから渡されたビンの液体を流していく。
マーティッカはなぜか細かいことは自然と出来てしまう。
不思議場所を巡るための能力のようだ。
「もうすぐ、治るよ…………治したい、のかな?」
マーティッカは飾りが直ると動けるまで待つ。
銀色の闇の混ざるボタンが五つ密集された飾りは飛んでいく。
マーティッカの周りを飛んでから行ってしまう。
マーティッカは小さく笑うと、次の不思議場所へ向かう。
「…………行こう、あ。あの女の子を探す、考えなくなったらだめ」
マーティッカは不思議場所へ行く。
毎日していることである。
だが、それだけではなく少女探しをしようと思った。
マーティッカは歩きだす。
何となく思ったことをしてみている。
何だかマーティッカはいつの間にか笑顔で歩きだしていた。




