努力の話
努力という言葉のない場所。
彼女は努力という言葉だけがない町にいた。
努力という言葉はない方がいい。
努力は報われる。
この言葉があることでどれ程の人間が勘違いしてきたか。
努力は報われるという言葉はいらない。
彼女は静かに子どもたちを見る。
努力という言葉がない町に来た。
努力は報われるという言葉に潰れた人間はたくさん見てきた。
潰されるのだ。
自分で努力は報われると思い込んで、偶々才能があった人間は良い。
そうじゃない人の方が多い。
無いものは、無い。
それを分かり、別の世界で幸せになるために生きている人の多い町。
彼女はこの場所に興味があり、やって来た。
そんな町にした女性ユラリエの元へ行く。
「ユラリエさんー。」
「どうしましたか?ナン」
「ユラリエさんー。」
「どうしましたか?ナン」
「ユラリエさんー。努力という言葉が旅人のせいで流行りそうですー。どうやって消しますか?記憶、消します?旅人伝説にしちゃいませんか?」
ユラリエはニコリとする。
「そうですね。旅人さんの話は誰も外の話ですので本当には信じませんからね」
「今回、努力は報われるに努力したいといってた子がいます!どうします?話は聞いているのですが、本気のようです」
ユラリエはニコリとする。
ナンは笑う。
「彼は、でも大丈夫だと思います!努力は報われるがだめでも!努力でどうにかすると思います。それに努力が実にならなくても腐らないと思います」
「腐りませんかね?死にたくなるとか。自分の町の子どもが死ぬのは嫌なのです」
ユラリエは冷たくいう。
ナンは大丈夫ということは分かる。
「彼は大丈夫と思います。だって、努力は報われるも、報われない時も自分でどうにかすると思います」
ユラリエは笑う。
「なら、大丈夫ですね」
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ソラとルーは努力のない町に来た。
無いとは、そういう言葉の存在しない場所。
そこへ町のナンがソラを案内していく。
ソラは質問する。
「どうして努力がないですか?」
「努力は報われないからです」
「むくわれないですか?でも!努力いっぱいなら」
「報われるのは本当に才能がある方と、あとは………命を賭けている方だけですね、あとは」
「?」
ナンは笑う。
「無意識に努力した方ですね」
「むいしき?ですか?」
「無意識が一番の努力です。努力という言葉がないからこそ、無意識に何を努力出来るか?その力を鍛えている場所なのです。ここは」
「むいしき」
「はい。ですから。今回、無意識に努力した方は町を出ました。ですが、報われないことも知り、けれど努力を続けられるのか?と学んでいきました」
ソラはコクコクと、うなずく。
「努力は報われる、ではなく。」
ナンはニコリとする。
「努力は報われない、けれど。死ぬ気で生きるか生きないか、は決められるとユラリエさんから話されました」
ソラはうなずいていく。
「そう、なんですね」
ナンと別れると、町を出て荒野にいた。
ソラとルーは隣同士だ。
「ルーは努力のない町どう思う?」
「努力という言葉はあった方がいいと思えた」
「うんうん」
「努力という言葉は必要と思える。それを知り、けれど報われないが、それでも何かをするか?というのはあった方がいいと感じた」
ソラは頭を抱える。
ルーのいうことは難しい。
「な、なるほどだね!」
ソラはルーの言葉難しいなと思いながら、うなずく。
「でも!努力をするってすごいよね!」
「努力をするは、死にたくなるだろうな」
「うん?そうなの?」
「努力を本気でしている者は毎日死にたくなっているだろうな」
「そ、そうなの?努力って……大変なんだね!」
ソラは上を向くと青色の空がある。
どこまでも続いている。
「でも、努力してる人がんばれって思うよ!」
ソラの言葉にルーは少し目線を落とす。
「そう…だな。我も、頑張れとは思う」




