人の群れ(あまり良くない方の)の話
「人の群れだな」
誰かはつぶやく。
人の群れがある。
人という群れには気をつけなければならない。
人という群れがある。
そこへ誰か歩いてくる。
小さな少女だ。
歌っている。
「らーららーんらーんらー」
歌っている。
ここから人の群れがあるというのに。
なんて子どもだ。
少女ソラは人の群れへと歩く。
人の群れはあまり良くないことを考える群れだ。
それを遠くにいた女性はとりあえず静かに様子を見つめる。
人の群れはソラを囲う。
どうやら危険そうな感じがある。
女性はけれど見つめる。
まだ動かない。
「…あの子どうするかな」
ソラは、人の群れの中でどうするのか?
ソラは囲まれ、逃げるところはなさそうだ。
「………」
女性は動こうと考えた、が。
ソラはまず、「あ!あっちに誰かいます!」と指を差す。
そうすると人の群れはそちらを向く。
ソラはその間に走り、近くの車の後ろに隠れる。
「後ろに隠れた…」
ソラは、そこからは隠れ地面に落ちた壊れた破片がいくつもあり、その中の灰色の破片を持つと投げる。
「おう………」
人の群れは音のした方を追う。
ソラはその間に走ってきて、女性はソラの手を掴む。
「こっち」
「え……」
「黙って」
人の群れはウロウロしている。
が、行ってしまう。
ソラは女性へ頭を下げる。
「助けていただきありがとうございます」
「いや……助けてはないけど…あの行動はどこで?」
「ルーが教えてくれたんです!」
「ルー。そう」
ソラは行ってしまう。
女性はまだそこにいた。
つぶやく。
「あの子車に近付いたけれど、破片あれでよかったわ」
遠くで車の近くに来た人の群れは車の近くの破片に気づく。
誰かが拾った。
「あ、やっと拾った」
大きな音が荒野に響いた。
ソラは後ろを向く。
ルーの方を見るが特に何の表情もしない。
ソラは、少し悲しそうにして、歩きだした。




