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空の存在  作者: 進道勇気
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手をつなぐ双子の話

手をつなぐ双子がいる。

青を基調としたドレスに赤のローブを重ねる双子の男女。彼と彼女は手をつなぐ。

ソラは、荒野にいる二人に気づく。

二人が歩いた所から何か落ちる。


「あ………双子さん」


ソラは、大きな湖へ向かう双子の側へ寄る前に落とした物を拾う。


「あ、あの落としま……」


双子たちはソラを見る。

静かな印象がある双子だ。

その時、湖が何だか水が騒がしくソラは湖を見る。


ソラを見ず、湖の前で膝をつくと二人とも同時に手を入れる。

そうすると、湖の奥から緑の羽を持つカニの姿の者がやってくる。


カニは、双子の方へとやって来ると湖から出てきて双子を前後ろ右左と騒がしく動きながら見るとコホンとする。

ソラの方を一瞬みるだけで双子の方を向く。

何となくソラは傷つく。


カニはいう。


「手をつなぎ、他の者ともつないできたようじゃな。ならいいだろう。この先も行けば良い」


双子は特に顔は変えずお互いに顔を合わせた。

カニは、去っていく。


双子たちはソラを気にせず行こうとする。

が、ソラは声をかける。


「あの、その……双子さんたちですよね。私はソラといいます!落としましたよ!」


双子たちはようやくソラの方を向く。

二人はソラへ近くへ行く。


「ありがとう。僕はクルクル。こっちはハルハル」


ソラは笑う。

ようやく話せた。


「ハルハルさんとクルクルさんというんですね。二人とも私のこと気にしないので…」


「僕たちは旅をしないとなんだ。だから集中してた」


「……………次のこと考えてた……」


クルクルがいうと、ハルハルも続ける。

ソラはその言葉に小さくいう。


「旅……ですか」


クルクルは静かにいう。


「前に手をつないでくれた人だね。またつないでくれる?」


ソラは、両手を差し出す。


「はい!」


双子と手をつなぐ。

クルクルとハルハルは小さく笑うと行ってしまう。


二人が歩いて行くとソラの隣にルーが現れる。


「前の双子か」


「うん!また会えた」


ソラは楽しそうに笑顔を見せる。

ルーは双子の後ろ姿を見つめた。


「あの双子と手をつなぐとおぬしへ良い力が流れる」


「いい力?」


「あの双子は離れられないが、手をつなぐ者を見極める力が備わっている」


「なんか難しいこといってる………」


「何だか体が軽くないか?」


ソラは「んー?」となりつつ、飛んでみる。


「は!なんか軽い!」


「会えてよかったな」


ソラは振り向かない双子へ手を振る。


「またクルクルさんとハルハルさんと出会えるといいな」


ルーはソラの心ならまた会えると思える。


「また会える。おぬしの心なら」


「心?」


「あの二人は見極める力があるから。といってもたまには違うときもあるかもしれないが」


「私もその力ほしい!」


「数年勉強するといいかもな」


「むむむ………勉強か……勉強……か」


ソラは頭を抱える。

勉強は苦手のようだ。

ルーはそんなソラへどこか温かさのある声を出す。


「おぬし…もし勉強するならどこかの図書館とか寄っていくか」


「うーん……うん!そうする!その時はルーも一緒だよ」


ルーはその言葉にいつもとは違って冷たくはない。

クルクルとハルハルの影響だろうか。

上手く出来ない温かさが今はある。

今だけは温かさをソラへ静かに向けることが出来る。


「…そうだな。その時は一緒に…勉強しよう」


ソラはその言葉にうなずく。


「うん!」

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