滑っていく話
ソラは、いつも通り歩く。
そうしていると、氷がある。
地面に氷が張っていた。
ソラは、氷へ足をつけてみると滑り出す。
「わーーーーー……………」
ルーはソラが遠くに滑り、遠くなっていく。
ルーは静かに見つめる。
追いかけることはしない。
ソラは、滑っていく。
「と、止めてほしいです!!!」
ソラが滑り、止まれないでいると、ポンッと誰かが彼女を抱きしめた。
ソラは顔を上げる。
そこには。
リュックを背負う女性がいた。
「大丈夫?」
「あなたは……ビーさん。ありがとうございます」
ビーはソラをギュウと抱きしめる。
ソラは少しきつく抱きしめられてわたわたする。
「あ、あの……」
「あ、ごめん!でもソラあ……かわいい!!ねえねえ!ソラ。この氷に氷地面絵があるんだ」
「氷地面絵があるんですか?」
「よーし!行こう!あれ?ルーは?」
「ルーは、あれ?いないです」
「まあいいや!私ビーと行こう!」
「え、あ、はい!」
氷の中央に何かある。
氷地面絵がある。
上から見ると氷の結晶が一カ所割れるようにある。
氷地面絵はどうやって出来るのだろうか?
ビーは楽しそうに笑うと、氷地面絵を上から撮影した写真をソラへ渡す。
「氷地面絵は、動物たちがねそこを踏んだことで出来るらしいけど!何とねここは綺麗に氷結晶になってるんだ!奇跡だよね!」
ソラはとにかくうなずく。
写真を見つめ、目を輝かせるソラであった。
「わあ……きれいです」
「ねーっ!私ビーはもっともっと撮影するんだ!ソラはどうする?」
「あの、私は先に進みたくて、でも滑ってしまって……ここを出られないんです…どうしようって思ってて…」
ビーはなるほどとして、ソラの手を握る。
「なら私ビーが連れていくさ!」
「いいんですか?」
「うん!どうせ場所はもう分かってるし!写真は結構撮ってるからね!戻ってきてまた撮るし!」
ソラはパアッと顔を明るくさせる。
「ありがとうございます!」
ソラは滑りそうになりつつ、ビーと行く。
その後ろをルーはどこかホッとしたように見つめた。




