恋に落ちる話
恋に落ちる。
落ちたことはあるだろうか。
俺はない。
あ、でも見た目は………んー。かわいいが好きかな
タイプはある。
が。
「ぜってえにここは退かねえからな!」
俺は両手を広げる。
俺は今まで恋に落ちたことはない。
恋に落ちるとかありえないし!
いや、落ちれないんだ。
俺は剣を持つ少女と向きあっていた。
………
何があったかというと。
「というわけでイヅ。恋に落ちない組織に入れ」
俺は頭がついていかないんだけど。
なぜか、いつのまにか組織に入った。
この大陸では恋に落ちるという感覚を持たない。
そのため人口は増えないな……。
この中で希に恋に落ちる者がいるらしく、俺はそれを取り締まることになる。
取り締まりのパートナーは少女である。
が、俺は恋に落ちるとかドキドキしない。
だが、かわいいとは思えるようだが。
金色髪を一つに結ぶ緑の瞳の少女。
服装は全員同じ黒の服。
名前はトリース。
ここでは、恋に落ちることは良くないとされている。
と同時に恋に落ちる感覚はないはずなのだ。
それでは人口が増えないと思うが、この場所は勝手に人間が現れ勝手に生き死んでいくが通常。
俺も恋に落ちるという感覚はない。
そんなある日、俺はある町に来ていた。
ここに恋に落ちた二人がいるらしく、もちろん捕まえなくてはいけない。
俺とトリースは探すため、一緒に歩く。
「恋に落ちるとかどんな感覚なんだろうな」
「知らない」
「俺はかわいいとかはあるけど、恋に落ちるとかはやっぱ分かんねえ」
「私も知らない」
「知りたいとも思わねえな」
知りたいとも思わない。
ないんだから。
トリースもどこか興味なさそうだ。
だが、ポツリと。
「けど。多分幸せらしい。私はそういう生まれだから」
トリースから初めて自分の話を聞いた。
「そうだったのか」
「ここでは、良くないことだから」
「ふーん。」
「良くないけど、どうする?パートナーやめる?」
俺はどうでもいい。
生まれとか。
「どうでもいい。それより探すぞ」
俺たちは二手に分かれる。
さて、どこにいるのか。
探さないと。と、思ってたら。
俺は、その二人を見つけてしまう。
なぜ分かるかというと、俺たちは見抜く目を鍛えさせられるからだ。
大変だった……。
まあいいとして
二人へと俺はいう。
「あなたたちを捕まえます」
俺は捕まえようとすると、二人の中の一人は俺へと向かってくる。
「ここであなたが俺に攻撃するとそちらの方もひどい目にあいますよ」
その人は下がる。
俺は通信機を使ってトリースを呼ぶとすぐにやってくる。
トリースへいう。
「トリース捕まえたぞ。連れて………」
「二人は」
トリースは俺の耳元でいう。
俺は驚く。
「何いって………」
トリースは剣を抜く。
こんな所で、何を。
というか、それは。
俺はトリースの前に出る。
「やめろ!トリース!」
「その方がいい」
「何勝手なことを!」
「退いて」
俺は退かない。
捕まえるが、後のことは必ず命を奪うではない。
だから俺はなぜか前に立っていた。
「トリース!俺は退かねえからな」
「なら」
トリースは俺へと真っ直ぐに剣を向けてくる。
剣を持つのは自分の護衛のためだ。
このルールによって、反対に命を奪われたってのもあるからな。
それを仲間に向けるなあ!
俺は真っ直ぐに来る剣の先を何とか踏み出すことで自分の体重を支えて右に避ける。
俺の顔が切れる。
「お前本気だろ!何考えてんだ!」
「やはり、ここではそんな感覚はないはず!なのに!そんな感覚のない場所で生まれた子どもはかわいそう!」
「………トリース……」
トリースは、剣を持つと俺へと振る。
俺は、もちろん避ける。
死ぬからな。
マジで
俺が避けながらでいるが。
あ、だめっぽいあぶない。
俺の首へ突き刺される寸前で。
「そこまでだ。トリース。」
リーダーのセレンディスだ。
呼んでてよかった。
というか、毎回呼んでる。
トリースはこういう行動をすることがある。
そのためにたまに呼んでいる。
トリースは止まる。
「リーダー」
セレンディスが来るとトリースは止まる。
よかった……………………俺危なかったあ…………
トリースは落ち着き、二人の人も連れていく。
それから俺とトリースは静かに町を見つめる。
俺はため息をつくようにいう。
「にしても、お前には困る」
トリースはうつむく。
「ごめん。つい」
「はー。俺に攻撃したらだめだろ!」
「暴走した」
トリースは暴走する。
たまに。
だけど、まあ構わない。
俺が止めれば…………セレディスが止めればいい。
「まあ、大丈夫だったし。俺以外は」
「………ありがとう………」
俺はトリースと別れる。
彼女は暴走しやすいとは聞いていた。
けど、気にしなかった。
だって、止めればいいし。
「にしても恋に落ちない、か。」
恋に落ちないは楽だ。
いつの間にか入ったが、することは多かった。
この組織へ来て、恋に落ちる感覚の本を読んだ時、吐き気だけが感じた。
恋だとか、愛だとか。
俺は気持ちが悪いと思った。
どうしても気持ちわるい。
恋に落ちる感覚は一生知りたくない。
一生知らなくていい。
一瞬は幸せと感じたが、やっぱり時間が経つと吐き気がする。
俺は口をおさえる。
そこを小さな少女が歩いて行く。
彼女は………観光客の印をつけてる。
外の人か。
恋とか落ちれる外はどんななんだろうな。
「………………」
俺は吐き気はするが、ここにいて思うのは一つ。
俺は町の光を見つめる。
灯りを見つめる。
俺はそこへ一つ。
「でも、恋に落ちた人は幸せになってほしいとは思うよ」
うん、それは思う。




