お菓子の話
お菓子の家の建つ。
そんな空間の話。
お菓子で出来た色鮮やかな建物が幾つも建つ。
噴水もお菓子で組み合わせられている。
噴水から弾けるようにキャンディが弾けている。
空はピンク色で綿菓子の雲。
ここは、全てお菓子で出来ているようだ。
ソラは、そんな不思議な場所にいた。
ルーはというと、どこか警戒するように辺りを見ている。
「わー!お菓子だ!食べれるのかな?」
「食べれると思う。おぬし。お菓子を食べておこう」
「ん?いつもはだめっていうのに?」
ルーは、建物のお菓子へ近付く。
ルーは、先に食べてしまう。
「ルーが食べるなら私も食べる!」
ソラはお菓子をゆっくりと外すように取ると食べる。
ルーはいう。
「もうあと幾つか食べておこう」
「わーい!食べる食べる!」
ソラは町中に置かれた植木鉢の花を食べたり、建物の窓を食べたりとしていく。
「あー。おいしかった!珍しいね!ルーが食べようっていうと思わなかった」
ルーは静かに食べると飲み込む。
そこへ、誰か歩いてくる。
チョコ色の帽子を被る、服装はケーキを思わせるようなドレスを着用する。
クリームとチョコで出来た傘を持つ。
彼女はニコリとしている。
「ようこそ。私はアメココ。突然出会って聞くとはどうかと思うけれど、お菓子はおいしかったかしら?」
ソラは笑顔で答える。
「おいしかったです!とってもおいしかったです!」
「そっか。おいしかったんだ。あ、なら何が一番おいしかったかしら?これからの改善にしていきたいの。もっと美味しく作りたくて」
「アメココさんが作ったんですか!?」
「ええ。ここのお菓子の組み立ては私がしてるわ。妹も組み立ててくれるのよ」
「妹さんにもおいしかったと伝えてほしいです!」
ルーはソラの前に出ると答える。
「一番は町中についた灯りのお菓子がとてもうまかった。他にも植木鉢の花が見た目からしてお菓子のようで食べるときに食欲をそそられた。本物のようでは少し食べることに躊躇いがあった」
アメココは笑う。
「そっか……本物に近いと食欲を低下させるのね。そう………なら、お菓子っぽく改善するわ」
ルーは最後に一ついう。
「お菓子を食べたのだから出ることは許されるはず」
アメココはクスリとする。
「ここのこと。知っている方?そう。ええ。出れるわ。ご賞味頂き感謝するわ」
ソラはむうとする。
「もっと食べたい!」
ルーはソラを連れていく。
「行くぞ。おぬし」
ソラはもう一度いう。
少し恥ずかしそうにする。
「あ、あの!本当においしかったです!」
アメココは笑顔で答える。
「それならうれしい。」
ソラとルーは行ってしまう。
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アメココはお菓子の建物を歩いて行く。
町中につけられた灯りのお菓子を手に取ると食べていく。
「たしかに一番かも」
そこへ誰か来る。
アメココに似たような容姿の少女が来る。
彼女はイチゴケーキの帽子を被る。
服は薔薇の飾りが一つされたカップケーキをイメージしたようなドレス姿。
アメクク。
彼女は姉の方へ行く。
姉の服の裾を掴む。
その後ろには何かいる。
「ここに来た子、食べたよね?」
「ええ。食べたといってたわ。アメクク」
「よかった…だって、ここには」
アメココとアメククは、ここにいるものを見つめる。
「人を食べちゃうお菓子がいるんだもん」
後ろには巨大なお菓子が混ぜられたような姿がある。
アメククは後ろに隠れる。
「大丈夫。ここのお菓子を食べるから。私たちのことは一応食べないわ。でも、外から来た人はお菓子食べないと勘違いするのよね」
アメククは後ろからお菓子の怪物がお菓子の建物を食べるのを見つめる。
「あれ………他の人食べよーとするもんね……怖い」
「大丈夫よ。あの存在が来る前に私たちがここに来た人を見つけ出してお菓子を食べるように誘導すればいいの。出口も開くし」
アメココは傘をそっと、地面に置く。
「また、作らないとね」
アメククはうなずく。
アメココは妹の頭を撫でる。
「大丈夫よ。組み立ては嫌いじゃないし……食べられたくないからね」
「うん……………」
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お菓子の空間から出れたソラは楽しそうにしている。
「おいしかったー。ルーが食べようなんてめずらしい!」
ルーはというと。
内心安心していた。
「うまかったな」
「うん!うまかった!」
ソラは楽しそうに歩きだした。
ルーはその隣にいる。




