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空の存在  作者: 進道勇気
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郵便の話

ソラとルーの前にその光景は広がっていた。

荒野。

外。

そこはヒラヒラと鳥のように白の封筒が飛んでいる。

そこには犬耳の少女や、羽耳の少年や魚姿の生物など、多くの種族がいる。

白の封筒が飛んでくるといくつも置いてある買い物カゴの中へと入っていく。


「○○世界はこっちに!」


「○○異世界はこちらへ!」


と、封筒へ声をかけている。

ソラはそこで慌ただしい全員を見つめた。

忙しい…………。

ソラは、見つめる。

何人もがその封筒を大きなカバンへと詰めると、


「○○地区行って来ます!」


「○○異世界へと行って来ます!」


と、キッチリとどこの場所へいくつ運ぶのかを紙ではなく、映像へタッチすることで間違いのないようにしているようだ。


「きゃー!!!」


ソラの前で封筒を柔らかい地面に落とした少女はワタワタする。

ソラは、駆け寄ると封筒を拾う。


「だ、大丈夫ですか!?」


「あ、りかどごさいます………!」


拾うと彼女は慌ただしく走って行った。

ソラはとりあえず見つめる。

それから数時間後ようやく全体の動きが止まる。

一人、こちらへ来る。

羽耳の少女は、元気そうにやってくる。


「君ー。ずっと見てたね」


「見てました。あの、ここは?」


「荒野郵便局だよー。ここは全部が郵便局なんだ!超忙しい!」


ソラは頭を下げる。


「忙しそうでした……お、お疲れ様です…」


「えへへっ。まだ確認があるのさっ!」


「大変……ですね」


「郵便するものがいっぱいだからね!ここでは別世界への手紙が多いんだ!君も手紙送る?」


「…………送らないです」


「ここはねっ。色々な場所へ送るんだよ。天でも、地の獄とかもね。」


「……………そうなんですか…?」


ルーは静かにしてる。

羽耳の少女はニコッとする。


「そっか!あ!確認しないと!私もう行くね!!」


早い。

走るの速い。

そこへ、また封筒が飛んでくる。

ソラを通り過ぎるように行ってしまう。


「荒野の郵便さんだって!ルー」


「荒野の郵便局か。忙しそうだな」


止まったかと思ったら、順番に休みを取りながら動き出している。

ルーは見つめる。


ソラは頭だけ下げると行ってしまう。

が、ソラは歩いていくと、荒野全体が郵便局のようで、進んでも動いている誰かがいる。

だが、建物もいくつか建っていて通り過ぎる。


「ルー。どこまでもだね」


「そうだな」


大きな封筒まで飛んできている。

やはり遠くで誰か転んだりもしている。

他にも場所の違うカゴに入ってしまったのか、あわてる人も。


「○○世界はこっちです!」


と叫んでいる。

ソラは歩いていく。


「すっごく忙しそう…だね。ルー」


「邪魔にならないよう静かに通り過ぎよう」


ソラはキョロキョロしながら、進んでいく。

ルーは静かに前を向いていた。

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