鍛える話
鍛える人間がいる。
彼は正座している。
筋肉のあり、目を閉じる男性。
彼の上から、石が落ちてくる。
石というか、岩だ。
岩が落ちてくると、自分の両手を頭上へ持ち上げて手の平を合わせる。
岩は彼の指へとぶつかり、彼の指ではなく、岩が割れる。
割れると水の中へ落ちていく。
「岩に負けぬ力を持つことだ」
そこへ、ソラは正座で座る人に驚く。
「わっ………なにしてるんですか?」
「岩との戦いなる。落ちてくる岩と戦い、自らの体を鍛えるのだ」
「どうして鍛えるんですか?」
「我は幼き頃から体が弱く、更に心が弱く育った。それを今ならば鍛えられる。そのために鍛えている」
また岩が落ちてくる。
目を閉じ、頭上で拳を作ると割る。
「我。まだ足りない。あまりにも足りないものが多い」
「体!かたそうです!」
「硬そうではなく、硬くするのだ」
「き、厳しいですね」
「我。甘さの幼少期。今は鍛える日々」
「甘さ?ですか」
「我。幼少期。欲しい物は何でも手に入り、甘えることしか知らない。けれど、成長すれば状況も変わる。自分の甘さに怒りを覚えた」
岩は落ちてくる。だんっと、足下
蹴るように飛び上がると、落ちてくる岩を拳で破壊していく。
「……岩は硬く、強い。我。挑むなり」
ソラはポカンと見つめる。
「私、見てます」
「見物か。構わない。」
ソラは見つつ、寝てしまう。
ぐっすりだ。
男性は気づく。
「寝たのか。そうか………。こんな危険な場所で」
ソラの隣にルーは現れる。
「主は寝たか……」
男性はいう。
「その子どもをここから離してほしい。此所は岩の落ちる場だからな」
ルーは、ソラへ声をかける。
「おぬし。起きろ」
「………んー。もう食べられないよお……」
「………起きろ」
「…………あ!これも食べていいんですか…」
「おぬし。とっとと起きろ」
「ふおい!あれ?さっきまでのごちそうは?」
男性は岩を拳で砕く。
「此所は危険。離れることだ」
ソラは離れる。
「はい。………またねです」
ルーは後ろを向く。
「岩が落ちてくる場で修行とは…本気で鍛えてるんだな」
「そうだねっ!ルーは何かきたえてることある?」
「鍛える?………特にないな」
「そっかー。私も何か鍛えようかな!」
「何を鍛えるんだ?」
ソラは考える。
「んー。……………んー…………。何だろ?」
「行くか」
「うん!そうだなー。ルーを甘やかせることをきたえようかな」
「ん?どういうことだ?」
「ルーは甘えないからね。甘えさせるをきたえるの」
ルーはよくわからない。
「そうか」
ルーはとりあえず、行く。
ソラは手を広げる。
「さあ、甘えていいんだよ」
ルーは通り過ぎる。
「ルー!?何で無視なの!?」
「行くぞ」
「ルー!!」
ルーをソラは追いかける。




