バケツの話
ある町
バケツを持って歩く人々がいる。
その中で青のバケツを持つ少女がいる。
バケツの色は青の灰色。
少女は、バケツを持ち、歩く。
彼女は、エリィ。
「バケツさんたちバケツさんたち。あなたたちは偉い。重い水を中に入れて、穴も開かずに持ってこれる。えらい。とってもえらい」
エリィはバケツが好きだ。
バケツは偉い。
例えば水が入ると重くなるけど、水も揺らしすぎなければこぼれない。
偉い。
バケツは偉い。
「バケツさんは偉い。大好き」
「バケツさんたち。ありがとう」
バケツの花と呼ばれるバケツの形をした植物へとじょうろで水をゆっくりとあげていく。
数年前にバケツを愛した少女がいた。
彼女はバケツの花を咲いてほしいと願い、咲くようになった。
ちなみにここにいるエリィはバケツを愛した少女の子孫でもあり、バケツを大切に守っている。
バケツの花は、今も意外とこの町のみんなが使ってもいてこの町では必要とされている。
人々は毎日一度は広場の中心へと来てバケツの花へお礼をいう。
ソラはそこへと来ていて、バケツを持って歩く。
この町はバケツが多くの場所に飾られていてバケツのぬいぐるみまで置かれてる。
バケツの書かれた服とか、バケツの髪飾りとバケツの腕輪とか。
ソラはバケツの形の外灯など見つめたりして、バケツの花も見る。
「わあ、すごいです!」
エリィは、ソラへと話しかける。
「ソラさん。一回りしましたか?」
エリィへとソラは笑顔で答える。
「はい!みんないい方いっぱいで、私が迷ってたら助けてくれました!」
エリィは、ニコリとする。
「そうですか。よかったです」
ソラはニコニコとする。
「そろそろ私行きます!あの、バケツはどうしたら…」
エリィはバケツを受け取る。
「…!バケツさんが喜んでます。ソラさんと町を回れてうれしかったみたいですね」
ソラはバケツを見つめるとバケツへと笑う。
「バケツさん。一緒にまわってくださりありがとうございます!」
エリィは、それからソラを町の入口で見送った。
エリィは、ソラの持っていたバケツを持ち、聞く。
「あの方と町をまわって楽しかったようですね。バケツさん」
バケツは何もいわないが、エリィはニコッとする。
「本当に楽しかったんですね。バケツさん」
エリィはバケツとともに、ソラの後ろ姿を見えなくなるまで見つめた。




