心の話
こころとは、いたいものらしいです
こころとは、かなしくなるらしいです
こころとは、ちのでない、いたみらしいです
私には見えないのです
誰をどなっても
誰を悲しませても
心が見えないのです
私は心に寄り添えないのです
私は優しくできないのです
こころのなみだがみえないのです
こころのいたみがわからないのです
じぶんのこころのいたみでさえわからないのです
だから、心がわからないのです
私に見えるのは表だけ
裏は見えなくて、勝手に決めつけて、知ろうとしなかったのです
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小さな少女と小さな犬は一緒にいる。
ソラとルーだ。
そこへ、青のピン留めを赤の髪にした少女が来る。
「あ、あのあの………」
彼女は、ソラとルーへ話しかける。
「あのあの!私に心をくださいです!心が欲しいのです!」
少女は、そういう。
心が欲しいという。
ルーは静かに答える。
「渡せない。……それに、心なんてない方がいい」
「え?そうなのですか?どうしてですか!?」
ルーは静かに答える。
「心なんて持たないで生きてる方が幸せだと我は…思う」
ソラはそこへ、ズイッと入ってくる。
「ルー!何いってるの!心は大事だよ!」
ソラは少女へと笑う。
「心はあげられません!でも!心は大事なものです!」
少女は、あげられないといわれ、ガックリとするがあわてて前を向く。
「あのあの、心の温度が欲しいのです…少しだけ欲しいのです」
ソラは不思議がる。
「こころのおんど、ですか?」
少女は話していく。
「私の心はない感じだから、誰かの温度が少し欲しいんです。少しだけもらうことはできませんか?」
ソラは即答。
「少しなら!どうぞです!」
ルーは隣にいる。
少女は、ソラの手のひらに自分の手の平を合わせる。
ソラの体からフワリと浮かぶのは温かなオレンジの色。
色は柔らかな輝きをもち、丸い気泡の中に七つの黄色の花びらが現れている。
それはフワフワと浮かんで、少女の胸元へとゆっくりと吸い込まれていく。
ソラは目をキラキラさせてる。
「何ですかこれ!?何ですかこれは!?」
少女は温かさを持つ心に目を開く。
「あったかいのです………あなたの心の温度です」
「!…そうなんですか!?」
少女はニコッとする。
「温かい心をありがとうございます!」
ソラはお礼をいわれ、照れている。
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それから、少女とお別れした。
ルーはいう。
「前は魂の者と会い、次は心か」
ソラは笑顔だ。
「うん!」
「体調は悪くないか?」
「なんかね!元気出てる!よーし!行くよ!ルー!」
ソラは走りだす。
ルーは冷静にいう。
「転ぶぞ」
「大丈夫だよ!ルー!早くー!」
ソラは荒野を駆け出した。




