忘れ物の話
忘れ物をして、戻っても見つからないときは。
そんなときは、忘れ物の町へ行くのはどうだろうか。
もしかしたら…出会えるかもしれない。
ソラは町へと入ろうとした。
ソラはピタリと止まると、本があるいている。
本は手足がついていて、ソラに気づくと手を振る。
「やあ!忘れ物の町へようこそ」
本は説明する。
「ここは、つい、うっかり忘れられたものたちの住む町だよ。いつか、忘れた僕を迎えにくるのを待ってるんだ…ここにいるのはみんなそうだな」
ソラは回りを見る。
カバンとか、つい、暑くて脱いだ上着とか。
様々な忘れ物が歩いている。
大きさはみんな人の身長くらいだ。
そこへ、誰かが来る。
男性だ。
男性は、思いきり走って行く。
その場所には茶色のカバンがいる。
カバンは抱きしめられる。
「ごめんな!忘れて…もうおいていかないから!」
カバンは涙ぐむようにいう。
「もう…おいてくなああ!」
その姿に他の忘れ物たちは手を叩く。
そして、カバンと男性は手をつなぎ町を出て行く。
カバンと男性へ向けて忘れ物たちはいう。
「もう忘れるなよー」
「さよならー」
と、忘れ物たちはカバンへと別れをいった。
男性と町の外へ出たカバンは小さくなった。
ソラはその光景に涙出す。
本はびっくりしてる。
そこへ、ハンカチが歩いてきて、ソラの顔へと近づく。
「あらあら、私で涙を拭いてください」
ソラは涙を拭いていく。
「ふぁりがとうございます」
「いえいえ」
本は質問する。
「そういえば、君も忘れ物を?」
「いえ…町についたので入っただけです」
「そっか」
ソラは町の入り口にいる。
町を出るのだ。
本はソラへという。
「さよなら、忘れ物しないようにね」
「はい!さよならです」
ソラが行ってしまうと、本はぽつりという。
「…今日も来ないな…」
ソラは歩く。
ルーが隣に現れる。
「ルー。忘れものだって」
「忘れもの…か」
「私は何も持ってないから忘れものしないよ!」
ソラは元気よくいう。
ルーは
「たしかにそうだな」
と答えた。
二人はまた進む。




