話の話の話の話
話
話 話
話
話
話
はなし
話が聞こえる。
誰の声か分からない。
何を話してるかも分からない。
ソラは、青色の森の中にいた。
そこでは、たくさんの声がして、話し声がする。
話し声はゴチャゴチャで、頭がおかしくなりそう。
ソラは、耳に手を当てる。
「おっきい……こえ……………」
ルーはソラの隣にいる。
耳が良いルーには更に話が聞こえてくるのは本当は耐えられない。
話
話
話 話 話
話
話
話
話
騒がしい。
うるさい。
うるさい。
ソラは、耳を塞ぐ。
「…………うう………ルー大丈夫?」
ルーは、いつも通りだ。
それでも。
話
話 話 話
話 話 話
話 話 話
しゃべり声。
話
話
話
話
話
話
話
話
話が混ざる。
混ざる声はルーの頭に痛みを起こす。
だが、ルーは消えはしない。
ソラの隣にいる。
ルーは平気という風に話す。
「我は平気だ」
「ルー………。」
ルーはソラの近くにある。
声がどれほど混ざっていても。
どれだけうるさくても。
ルーはソラの近くにいる。
近くにいる。
_____ピタリ
声がやんだ。
聞こえない。
突然。
ソラは、なぜかゾクリとする。
なんなのか。
ただ、後ろを向かない。
ソラもルーも黙っていく。
が、また声がした。
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話が聞こえる。
誰かいる
誰か来た
追い出せ
誘い込め
ほら
嫌だよお
まだいるぞ
呼べ
ほらほら、いるぞ
来てる来てる
さらにさらにさらにさらに
ここにここにここに
出ていけ
出ていくぞ
さあ、いなくなった
__________
ソラは、耳を塞ぐのをやめる。
森から出て、後ろを見る。
「声……………聞こえなくなったね」
ルーは静かにいう。
「そうだな」
ルーは、耐えていた。
話は、耐えられない程だが。
ルーは耐えた。
ソラを一人にしなかった。
「ルー………声大きかったでしょ…」
「我は何ともない」
「嘘だ、ルーはつらかったと思う」
ソラは、ルーの頭をなでる。
「でも、そばにいてくれるルーのこと好き!」
「…………………」
ルーは黙る。
ソラは、なでている。
ソラは笑顔でいう。
「私、ルーのこと大好き!」
ルーは顔に一つも出さない。
だが、一言。
「………そうか」
話はもう聞こえない。
でも、ソラとルーは一緒に行く。




