手の甲の話
「お、そこの子。手の甲見せてーみ」
黄色いマントをつけた少女がいる。
少女は、小さい少女。ソラへ話しかけた。
ソラは素直に黄色のマント姿。
頭の頂上でちょんまげにした少女へ手の甲を見せる。
少女は、ジッと手の甲を見つめる。
「んーと…爪がー、桃色ー。?ん?指のーシワは、あんまりないみーね。んー。見づらい手だなーみ」
少女は、ソラの手の甲をジッと見ると、真面目な声で話しはじめる。
「明るく、元気で……ふむ。何かと一緒にいるね?それは悪いものではない。そして、ねえ君。偽物だね?」
「はい。そうです」
ソラは笑顔で少女を見る。
少女は、ソラの笑顔に頬をムニッとつつく。
「偽物なまま生き、旅をする。旅とは優しく見えて、本当は恐ろしい。ソラ。そのことに明るく、けど分かってる。何年も生きている。………かな?」
ソラは目を耀かす。
「そうなんですか!?」
「自分で分かってないんだみーね。そっかみー」
少女は、ニコッとソラを見る。
「旅をするものたちの手の甲はおもしろいみーの。想像もつかない運命をたどってきたんだみーね」
「そんなことないです!偽物なのは気にしてません。ルーが一緒にいればいいんです!」
「あ。ルーっていうんだみーね。ふーん。でも旅とは大変でしょーみ?私はもう行くんだーみ」
黄色のマントの少女は後ろを向いて行ってしまう。
ソラは、黄色のマントの少女の後ろ姿を見てから、自分も後ろを向いて進む。
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黄色いマントの少女は、自分の手がジュワッと痛みがある。
その手を自分のもう片方の手で包む。
「いってーみ…………」
少女は、歯を上下に思いきり噛んで合わせる。
「いってーみ………」
彼女は手の甲から相手の運命を見る。
「あの子ども、偽物のくせに守りもありやがってみ………運命喰ってやろうと思ったのみ」
黄色のマントの少女は、ニタリと笑う。
「………いいみ。旅する奴は運命がとんでもねー奴もいるみ…。直さねーとみ…」
黄色のマントの少女は痛みがあるが進んでいく。




