夜と抱きしめられるルーの話
夜は寒い。
だから、ソラはルーを抱きしめて歩く。
暖かい。
夜は寒い。
冷え込んでいるが、雪がないからまだいい。
雪があれば、寒いなんてものじゃない。
ソラは、暗い夜。目を開けている。
腕の中にはルーを抱きしめる。
「ねえ。ルー。寒い?」
「おぬしはどうだ?」
「あったかい」
「そうか」
暗い。でも、歩く。
歩く先に、地面がポツポツと光っている。
柔らかい赤緑の光が輝く。
ソラは、そこへと行く。
地面の中に透明なガラスがある。
その中の丸い物体が光っているようだ。
「わあ、こんなのあるんだ!」
その光の中を歩いていく。
夜は寒い。
けど。
赤緑の光がポツポツと光る方向へ歩く。
「よし、ルー。あっち行こう!」
ルーは、抱きしめらている。
「おぬし。離せ」
「え。やだ」
「…………」
ソラは離す気はない。
ルーは、なにもいわないことにする。
赤緑の光の地面を歩いていく。
先に何があるか分からないが、歩く。
特に何かは起きない。
ルーはいいことだと思う。
何もないことが一番いい。
いや、たまに不思議なことがあるのは
楽しいが……
ソラはいう。
「ルーといっぱい旅してるね!どのくらいかな?!」
ルーはたしかに相当長くいつの間にか旅をしている。
「たしかにそうだな……かなりな気がする」
「うん!ルーはいつもなーんか、冷たいんだよね!」
「冷たくて悪かったな」
「うん!つめたい!」
「……そうか」
ソラは、話していく。
「私はルーがいなかったらここにいなかったよ」
「我も同じだな。おぬしがいたから我もここにいる」
お互いに出会った時の話をした。
ソラは、いう。
「あ、ルーは最初から冷たかったね!」
「そうか?」
「うん!なんか……うん!」
「我はそんなに冷たかった………か?
ソラはルーを抱きしめていう。
「今も冷たいけど、冷たいルー好きだよ!」
「………」
ルーは冷たいといわれ、何となく下を向く。
「冷たい………か」
ソラはいいすぎたかなとルーの頭をなでる。
「ごめんね?ルー」
「いや…気にしてない」
「本当!?」
「ああ。気にしていない」
「うん!じゃあ!行こう!ルー!」
赤緑の地面の光に照らされるソラとルーは進む。
ルーはつぶやく。
「おぬしは夜でも元気だな…」




