ソラと誰か
ソラは町についた。
町は、人々が歩く。
みんなうれしそうに笑う人のみがいる。
「みんなにこにこだねー。ルー」
「そうだな」
ルーは人のいるところでは姿は見せず声のみを出す。
ソラは歩いていると、建物がある。
そこへとソラは入っていくと、横に長い長椅子が縦に四列程並べられている。
その奥に。
何かがいる?
何かのカタマリ。
大きくて、ズシンと床に座るように存在する。
赤色のカタマリ。
ソラは目を輝かす。
「わあ!」
ソラは近づく。
ルーは一応声をかける。
「近づくな。おぬし」
「こんなに近づいても何もしてこないもん!…生きてる、のかな?」
ソラは近づくと息をするようにカタマリが動いてる。
「…私…私……………」
人間は苦手だ。
ソラは姉は好きだが、他はあまり苦手な所がある。
にこにこと話すが、本当は作り笑いがうまいのかもしれない。
ルーはソラに対してそう感じている。
ソラはカタマリにふれる。
そっと。
「あなたはなんですか?」
そこへ、男性が来る。
「そこの子!それは怪物だ…離れるんだ」
ソラは素直に言うことを聞き、後ろへ下がる。
男性はいう。
「この町を壊した怪物だ。といっても、これの先祖がな。危ないからここにいるんだ」
「そうなんですか…?」
「さあ、ここは出な」
ソラは連れて行かれる。
男性はここには近づいたらだめだよと人々の中を歩いていった。
それを見て、もう一度建物へと行く。
誰もいない。
カタマリを見る。
ソラは両手を前へと出しカタマリへと頬をつける。
抱きしめるように。
やはり攻撃も何もしてこない。
「あなたは怪物なんですね。私、とても怪物が好きです…私を傷つけようと襲ってくるものは苦手ですが…あなたは私を傷つけてこないみたいなので………」
ソラはうっとり目を細める。
「とても…とても、好きです…そうですね。愛とかよく分かりませんが、あなたという存在を愛しています」
怪物が好き。
ソラは怪物が好き。
自分を傷つけてくるものは苦手だが。
怪物が好き。
とても、好き。
愛しい。
そして、何よりも。
「きれいな姿………なんて、きれい………」
怪物の姿が好き。
好きなのだ。
美しい。
なんて、なんて…美しいんだろう。
言葉で表せない姿がきれい。
なんて、きれいなんだろう。
「きれいですね…本当に本当にきれい…」
ソラの言葉に怪物は答える。
“何がきれいなのか?”
「あ!しゃべってくれるんですか!?うれしいです」
“わたしをみにくいとみんな言うよ?”
「きれいです…あなたの姿…私好きです」
“きみは…”
「私はあなたという存在がこの世界にいてくれたから…生きてこれた…何よりもきれい…」
“きれい?どうして?そう思う?”
ソラはかわいらしく笑う。
「わからないです。好きなんです。いつのまにかとっても」
“…………………………変なやつだ”
「変で…いいえ、変がいいです。おかしくていい。あなたたちは本当にきれいです」
ソラは気づく。
「どうしてここに?」
“先祖はここを壊した。わたしもおなじと思われている”
「違うじゃないですか…あなたとは」
“悪がいないと、みんなが笑えないといわれた”
「どういうことですか?」
ルーは口を出す。
「つまりあなたが“悪”とされたことでここのものはあんなにも幸せに笑えるということか。敵は“あなた”だから。人と人は敵同士とならない」
ソラはよく分からないが、質問する。
「…………ここを、出たいですか?」
“ここでいい。出れないし”
「そう、ですか…」
“そろそろどこか行かないと誰か来る”
「あ、はい…すみません、長くいてしまって…あの、私」
ソラは好きを伝える。
何も…でき…いや、しないけれど。
それだけは伝える。
「好きです…本当に大好きです」
ソラは手を振った。
そこへ、ソラがいなくなると男性は来る。
冷たい目で怪物を見る。
「よかったな。あんな風にいうこどもがいて」
ソラは進む。
ルーは静かにソラを見つめる。
それぞれ趣味はあるが、ソラは…どうなんだろうかは知らない。
けど、それぞれ好きなものは違う。
「おぬしは怪物が好きなんだな」
「うん…攻撃してこないならもっと好きだな」
「そうか」
「…?ルーのこと好きだよ?」
ソラはにこにこする。
「聞いてないが」
「ルーのことも、とーーっても大好きだよ」
ルーは特に何も反応しない。
ただ、
「そうか」
という。
素っ気ない。
ソラとルーはまた進む。




