いつのまにかそうする話
最初からそんな気持ちはなかった。
俺は、何をすることも興味ないし、何かを好きになるような人間じゃない。
最初は、考えなかったことを今はしていて。
本当なら自分の想像通りに生きると思っていたのに。
いつのまにかそうしていた。
俺は、何かを選べる方じゃないし、自分のことを自分で決められる方でもない。
なのに、いつのまにか。
俺はだから、ここに立つのかもしれない。
俺の前にある“何時の間の楕円形”の場所にいた。
浮いていて、何だかぼんやりしてる。
「俺は自分でこんなことできない。だから、ありえないんだ。ここに来るなんて」
俺にはできないはず。
こんな所に自分で来るなんて絶対にない。
だから、聞く。
「どうして俺をここに来させた?」
楕円形の形。色は薄い赤。
そこからは、液体が流れる。
落ちていく。
薄い赤は、地面に落ちる。
俺はいう。
「どうしてこうさせた?俺には何もないはず。どうして俺によくわからないことをさせた?」
そこから現れるのは美しい少女。
薄い赤の髪は短く、少女は、地面に足をつけている。
「理由なんてないよ?」
少女はクスクスする。
「どうだった?自分の送るはずのない人生を生きた気持ちは?どう?恥?それとも後悔?」
俺は少女の言葉へいうべきは何だろう。
手を広げる。
「楽しかったよ。とっても」
俺は笑む。
楽しそうに笑う。
「楽しいよ。俺は、余計なことをしたなとか、たくさん思った。でも、俺には必要だったって思いたいんだ」
少女はクスクスする。
「だーかーら。理由なんてないの。私は、たまたま少し強い何時をあなたにくっつけた」
何時?
くっつけた?
何の話だ?
俺は聞く。
「何の話だ」
少女は口元に手を置いて、楽しそうに笑う。
俺は、正直ゾッとする。
「でも、全員だよ?それがもっとひどく出た人もいる。あなたなんて、まだまだかわいい方だよ」
もっとひどくって。
何笑って………いったい………。
少女は笑う。
「今自分が不幸と思うならあなただけじゃないわ。ぜーいんよ。全員。生きてる全員。みーんな不幸。幸せな人なんていないよ」
少女は楽しそうにする。
「あなたをここへ来させたのはその何時を取り出すため」
俺は、ドクンッとする。
「な…………………」
少女は
何時の間の楕円形にふれる。
「あははっ。あなたで三十人目。みーんな、同じことをいう。自分でこんなことしないってね」
少女は、俺へ全く興味のない目をして、後ろを向く。
「さーて、行かないと」
俺は手を伸ばす。
「待て!何か、理由があるんだろ!?俺にも」
少女はクスクスする。
「理由なんてないよ?理由なんてないの。ね?理由はないの。何もないの」
理由はない。
俺は、
___いつのまにかそうする___
____いつのまにかそうされていた____
俺は、俺は………………。
「理由、あるんだろう…………?」
なんて、いうと。
少女は美しく口元を歪ます。
「同じ。三十人目も同じこといってる。あははははっ。おもしろーい」
______
ソラは歩いていく。
ルーは遠くに気づく。
その光景は。
遠くで人の形は貫かれ、何かが這い出る、そんな光景。
遠いからよく見えないが。
ソラがそっちを向こうとして、ルーは声をかける。
「おぬし。そっちはだめだ」
ソラは不思議そうにする。
「なんで?」
「よくないからだ」
「よくない?の?」
「ああ。前を向いて、行こう」
「うん!行こう。ルー!」
ソラとルーは行ってしまう。




