迷う話
迷いとは現実では迷えない。
迷えるのはここだけ。
迷う人や、人以外の存在。
全員が迷ってる。
迷ってる、それぞれの理由で。
現実では迷えない。
時間は動くから。
遅くも早くも動く。
ここは止まっている。
人はいう。
「僕は、まだ考えないと」
人以外の存在もいう。
「私はまた、選ばなきゃ、どっちにしよう」
全員がしゃべる。
「迷える場所があるなんて、よかったよ。なかったらもう…俺は」
“「みんな迷ってるんだね。あたしもだよ」”
そこへ、小さな少女。
ソラが来る。
ソラは端っこへ行く。
浮かぶ小さな犬。
ルーと話す。
「ルー、いっぱいいるね」
「迷うことが許される場所だな…」
ルーは迷い、迷う全員を見つめる。
ソラはいう。
「迷うかー私は迷わないよ!ルーがいるから」
迷うのは、他の意味もある。
どうこれからあるのかとか。
ルーは、いう。
「我は迷うぞ」
「ルーが迷うなら手をつなぐよ!そうすれば迷わないよ!」
迷う。
迷う。
「そろそろ出るか?おぬし」
「う、うん!」
そこへ男性が来る。
黒髪のスーツ姿の男性。
「まだここへいていいんだよ?どんなことが現実で起きていたとしても迷うことは、あるはず。ここは迷うことが許される。“迷い許し”の場所」
男性はソラへニコリとする。
「迷って、十年もここにいる方もいるんだよ?君たちも迷いはあるだろう?いていいんだよ?許されるんだよ?進まなくてもいいんだよ」
男性の隣を遠くで話していた人や人以外の存在が通りすぎて、進んでいく。
男性は、笑う。
「迷い続けていいんだよ?あの方たちは行くみたいだけど」
ソラはにこっとする。
「私たちも行きます!」
「迷えることが許されるのに?」
ソラはルーの手を掴むと行ってしまう。
男性はソラを見つめると、後ろを向く。
まだたくさん残ってる。
「行くものはいってらっしゃい。行かぬものは迷えばいい」
男性はニコリと迷うものたちの中へと行く。
迷う。
迷う。




