入れ物の話
散らばる。
空中を散らばるのはガラス破片。
赤と青の長い髪。
少女は浮かぶ。
笑う。
「もうわかったよね?」
そして、倒れる青年。
少女はクスクスと笑う。
「封印はとけたの」
青年は倒れ、動けない。
先ほど少女の封印がとけ、必死にまた封じようとして、力を使ったことでもう体が動かない。
それでも、起きようと体を動かす。
「…ぐ……………」
「もう無理でしょ」
柔らかく、けれどどこか悪を感じる笑顔。
青年は起きない。
少女は、破片へ指でふれる。
「封じられろ……………」
「嫌よ。これでやっと、出れた。よかったわ。私はうれしいわ。私といよう。出れたんだもん」
ガラスの破片は先ほど割れた。
丸の透明な入れ物は割れた。
青年は少女を封じるために作った。
けど、割れた。
「どうして割れたんだ………」
少女は、浮かび、青年の頬にふれる。
「私の封印はとけた。あなたは私を封じた。私は気に入ってるの。あなたのこと」
少女は、そのガラスの破片で青年を囲う入れ物を作ることにする。
「入れ物を作るわ。悲しい顔しないで。ね?」
笑う少女の姿が見えた。
青年は倒れたまま、目を閉じた。
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ソラは歩いていると遠くに透明な何かがある。
丸い入れ物のようなものが見える。
ソラはルーへと聞く。
「ルー。あれ何?」
「何だろうな。入れ物のようだな」
「行ってみー…」
「嫌な感じしないか?」
ソラはもう一度見る。
ゾクッとする。
「やめる」
「それがいいかもな」
ソラとルーは別の方向へ進む。




