金色の草木の話
荒野には金色の草木が密集して生える場所。
その中をソラは歩く。
金色の草木はソラより身長が高く、ソラの姿を隠す。
風で揺れる草木とソラが進むことで揺れる草木だが、風で流れるように動くため、どこにソラがいるか分からない。
ソラはルーと一緒に一度座る。
「わー!ねえルー!空見て」
ルーは上を向く。
金の色と空の水色は混ざらない。
そこにいることが不思議で、ルーはいう。
「我は…ここにいるんだな」
ソラは、ルーを後ろから抱きしめる。
「いるよ!ルー!わー!ルーかわいいな!」
「後ろから抱くな」
「えーうれしい!?」
「喜んでいない」
「またそんなこといってー!私のこと大好きだもんね!」
ルーは静か。
「別に……」
ルーはそういうが、ソラはニコニコする。
「ルーだいすきー!」
ソラとルーの横を何かが刺さる。
カッターのようなものが地面に突き刺さる。
そして、スパリと金色の草木が切られる。
ソラは地面に伏せる。
ソラとルーは固まる。
「ル………」
「静かに」
ルーは抱きしめられる。
ソラは止まる。
そのカッターのようなものの先上の方に四角の機械の形が見える。
ソラは立ちあがる。
そこには長いカッターのような足。
機械のような四角い形。それは柔軟にソラの方を見る。
体を下げるようにしてきて、機械はカメラのようなレンズがついていて、ソラを見つめる。
水晶のような透き通った球の円板。
シャラシャラっという音がする。
「ルー………あれ」
カッターの足を動かし、それは金色の草木を切っていく。
切りながら歩いていく。
ソラはニコッとする。
「わあ!ルー歩きやすいね!」
ルーは機械を見つめる。
自然のものを切る。
それは。
切り落とされた金色の草木をルーは見下ろす。
「よーし!ルー行こ!」
「……ああ。行く」
ソラとルーは進む。
______
カッターのような足を持つ機械。
それは、金色の草木を切っていく。
だから、草木は、機械へと伸び、四方に位置する。
そして、機械の体を突き刺す。
______
ソラは、見た。
「ルー。これってさっきの?」
先ほど出会った機械に似たものが穴だらけになり、壊れているのかピクリとも動かない。
ルーは「………行こう」とだけいう。
ソラは何となく振り向く。
「ねえ、ルー。何か聞こえなかった?」
「何も聞こえない。何もな」
ルーはソラが「そっか」と笑う。
ソラは先に進む。
ルーは振り返らない。
「………草木の声も誰も聞こえないんだ。機械の音も聞こえない」
ルーは暗く笑う。
「そもそも、聞く気なんてないんだから。全てが」




