不安の話
小さな少女。
ソラ。
浮かぶ小さな犬。
ルー。
ソラとルーは荒野を歩く。
荒野の空の色は桃色に、灰色混ざる白の長細い雲が流れる。
そこに、青の色の鳥のようなものがいくつも飛んでいく。
「わあっ、なんだろ!あれ!」
ソラは走って追いかける。
ルーは、いう。
「転ぶぞ」
ルーの話など聞かず、ソラは走る。
「………………」
ソラは走って行くと、そこには。
少女がいる。
少女は、緑の透明結晶の色をした不思議な形をした場所に座っていた。
そこには、ソラが追っていた青の鳥もいる。
青の鳥は、よく見ると青色の透けているような姿をしていることに気づく。
少女は、濃い赤色の髪を長く伸ばし、白色の服を着る。
少女の肩や、手のひらに青の鳥は乗る。
彼女は、不思議な感じだが、ソラはいう。
「あの!」
少女は気づくが驚きはしなくニコリと笑う。
「はじめまして」
ソラは急いで答える。
「はじめましてです!」
ルーはソラの隣で静かにしてる。
ソラはグイグイ聞く。
「何してるんですか?」
「私は、多くの不安を少し、もらってるの」
「不安?ですか?」
少女は手のひらに来る青の鳥の頭を優しくなでる。
「この子たちは不安を少し、もらってくるの」
「不安をどうするんですか?」
「不安は、大きくなるの。忘れても忘れようとしても、大きくなる。だから、少し、もらえば不安は小さくならないかなって」
「不安…………」
青の鳥は緑の透明結晶に乗っていたが、一羽、また一羽、丸くなるように消えていく。
「消えちゃいました!?」
少女は肩の鳥に頬ずりをされながら答える。
「不安はこの結晶が吸い取ってくれるの」
緑の透明結晶に少女はふれる。
ソラは目を輝かす。
「わあ!すごいですね!」
そこへ、ルーが質問する。
「どうしてそんなことをするんだ?」
少女はやはりニコリとする。
「不安がいっぱいだと辛いから。だから、少し、もらうの。全部もらいたいけど、それすると、自分で考えられなくなっちゃう」
ルーは静かに答える。
「そうか。不安を持つ誰かはきっと…」
ソラがいう。
「きっと!不安すこーし!なくなるね!」
ソラは素直に笑う。
「ありがとうございます!お姉さん!」
少女は少しだけ目を開いたが、小さく笑う。
「……………うん。そうだといいな…」
ソラとルーは少女と別れる。
ソラはいう。
「不安かー」
ルーは。
「おぬしは不安はないか?」
「んー」
ソラは腕を組んで考えるようにして、いう。
「ないよ!ルーがそばにいるもん」
ルーは静かに。
「そうか」
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青の透明な鳥は飛んでいく。
不安。
なくならない。
でも、不安を少しでもなくしたいと思う少女はいる。
そんな存在がどこかにいる。




