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詩集「てのひら暦」

乳の涙【詩】【恋の詩企画】

君の涙は乳の味がいたします

どろどろに濁っています

乳は血から作られるとのこと

君が何にそんなに苦しんでいるのか

分からないでもない

乳の海に溺れているんでしょう?


双頭の月がにらみ合っている

うろこを光らせ

青筋を立てて

君をゆっくりと締めあげている

上弦

時間稼ぎを

君はいつまで続けるつもりなのだろうか

月満ちるまであといくらもない


額にはりつく前髪の幾筋かが

文字を描いているようです

それはぼくへの手紙なのだと

ああ……君は、言葉で言ってはくれませんね


しるしが欲しいのです

君の羅針盤がぼくを指しているのだと

目を凝らせば君の顔は滲む

ぼくの目に君の涙が混じる

それは乳の味

舐めれば君の絶望が苦い


里程標が光る

夏の夜空

どこまでいけば「到着」と見做されるのか

昇りつめた、

と思った瞬間に突き落とされる

その繰り返し


きっと君はその道を共にはたどらせてくれないのでしょう

だけど君の吐く息を味わう いま

君の絶望を分け与えてくれ

同じタイミングで昇りつめ 果て 落ちていく

その共犯者に選んでくれ

2019年7月制作。

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― 新着の感想 ―
[一言] 読ませていただきました。 タイトルから独特で、ちりばめられたモチーフもファンタジー的で面白いです。内容はやや難しい?? 恋人たちの愛の詩でもあり、二人の人生の旅の詩でもあるのでしょうか。文章…
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