表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
63/76

63 エンとして

63 エン()として


 ボクたちがスラクロの町に来てから3日がとうとしていた。

 あれからティニアさんはなしくずし的にボクたちと行動をともにしており、はたから見れば、もうボクたちはなかば、パーティーと化している感じに見える。

 そんでもって、ボルファスおじちゃんがスニテ村への物資の調達をしている間、ボクたちは大体サーベニアお姉ちゃんの買い物に付き合わされてり回されていることが多い。

 まあ、変わった物がたくさん見れて、ボクとしては興味深きょうみぶかかったんで楽しかったけどね。

 物の相場とかも結構見れたし。

 ああ、ランスお父さんはボルファスおじちゃんの手伝いをさせられていることが多かったけどね。

 そして、ボクはと言えば。

 テニアさんに、なつかれたというか、何というか……。

「サーベニアさんの事はサーベニアお姉ちゃんってんでいるんだね。いいなあ。あたしも「ティニアさん」じゃなくて「ティニアおねえちゃん」ってんで欲しいな」

「えっ!? でもお……」

 と、せまられていた。

「ティニアおねえちゃんって、呼んで欲しいなあ」

 そっ、そんな、子犬が目をウルウルさせているようなひとみで見つめられても……。

 お姉ちゃんはもう二人いるし。

んで欲しいなあ」

 いや、もうエストグィーナスお姉ちゃんとサーベニアお姉ちゃんがいるし……。

 お姉ちゃんは結構けっこう、間に合っているので。

「ティニア、お・ね・え・ちゃ・ん」

 だから……。

「ティニアお姉さん」

「お・ね・え・ちゃ・ん」

「……ティニアお姉ちゃん」

 負けました。

「は~い、よくできました!」

「うわあ!」

 ティニアお姉さ……お姉ちゃんは感激かんげきした様子でボクを抱き上げて、ほほに自分のほほせて、スリスリしてきた。

 まあ、ティニアお姉ちゃんのほほはスベスベしてて気持ちいいんだけど。

 それにしても、何故だか、お姉ちゃんが増えていく。

 そんなスキル、あの薄紫髪ツインテール少女神のパスティエルから与えられていないはずだが?

 あの薄紫髪ツインテール少女神、うっかりそうだったしなあ。

 もしかして、かくしスキルとかあるんじゃないのか?

 まさか!

 『ネットスーパー』のスキルに!?

 ……って流石にそこまではないか。

 日本版のをそのまま流用したみたいな手抜てぬきっぷりだったし。

 そのおかげというか、せいというか、料金が円建えんだてのせいで、いまだに使えないでいるし……。

 隅々(すみずみ)まで読んで、やっと糸口になりそうな来店ポイントとかミニゲームみたいなものを見つけたわけだし。

 ……止めよう。

 これ以上考えるとむなしくなる。

 突破口とっぱこうはあるんだし、あともう少しだ。

 でも、このままではある程度大きくなるまでに何人のお姉ちゃんが出来ることになるやら。

 前世は年のはなれた双子姉妹。

 今世いまよ絶賛ぜっさん増殖中(ぞうしょくちゅう)疑似ぎじお姉ちゃんたち。

 これも女難のそうとでもいうのだろうか?

 ……。

 いやじゃないけど、早く、大きくなりたいな。


   ◇



 ボルファスおじちゃんの一通りの要件を終えたので、そろそろスラクロの町をつことになったボクたちは一応、冒険者ぼうけんしゃギルドにも出立の挨拶あいさつに来ていた。

 相変わらず、入った瞬間、ボクを奇異きいな目で見てくる視線がいくつかあることに気付くけど気にしない。

 まあ、仕方ないことだよね。

 場違いだしさ。

 見れば、一番近いカウンターには初めの日にいたシャロンさんが座っている。

 軽く手をってみると、シャロンさんもにこやかに小さく手をり返してくれた。

「あら、ティニアさん、サーベニアさんたちと行動を共にしているんですか?」

「まあね、しばらくこの子、セイルくんと一緒にいようと思って」

「そうですか。でそれで、みなさんは今日は依頼いらいを受けに来てくれたんですか?

 そうですかの営業的対応で流されてしまった。

「いいや、一通りの要件が終わったんでな。出立の挨拶あいさつをと思ってな」

 ボルファスおじちゃんがカウンターまで行って話す。

「そうでしたか。できれば、これだけの高位ランクの方々が揃っているのですから、滞在中たいざいちゅうに、何か難易度の高い依頼いらいを受けていただければと思ったのですが」

「軽く見てみたけど、今の所、差しせまって緊急の依頼いらいというのもなさそうだけど」

 サーベニアお姉ちゃんが言う。

 そんな時だった。

 後ろの入り口の扉の方で、大きな音がした。

「んっ!?」

 振り向いてみれば、冒険者ギルドのドアが乱暴に開けられて、あわてた様子の男達が2人飛び込んできた。

 入ってから一旦いったんあらい息をととのえるためにか、手でひざささえながら何度か大きく息をしている。

 でも、何となく見覚えのある二人組だな。

 あっ、!

 あいつら、ティニアさんを路地裏に連れ込んで言った5人のうちの残りの2人の元冒険者ぼうけんしゃだ!

 確か、ティニアさんのおしりさわったっていうリーダーと、ほか一名。

 冒険者資格ぼうけんしゃしかくうしなったはずなのに、何で冒険者ギルド(ここ)にきているんだろうか?

 そんな風にボクが、連中を観察かんさつ評価ひょうかしていると、2人はボクたちを追い抜いていく。

 そして、2人はカウンターのお姉さん、シャノンさんの所までっていってさけんだ。

「町の外に魔物が大量に出たんだ!!」

 あれっ!? 前にもこんなシーンにたようなのがあった気が……既視感(デジャヴ)かな??

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ