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罵られ捨てられた少年と魔物使いの少女  作者: 儚月
第一章 少年の出会い
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第四話 カレンの過去


やってきたシンさんがカレンに優しい目を向けていた


『カレン。お前はここに来る前のことを覚えているのか?』


そう聞いたシンさんの口調は少し重かった。


「覚えてない。でも、ここで生まれたわけじゃないってことは気づいてた。」


『そうか...。これも何かの縁だ。お前もすでに10を過ぎているだろう。そろそろ過去について教えようと思っていたんだ』


「じゃあ、私はどこから来たのか教えてくれるのね」


そう言ったカレンの目にはどこか期待の色が込められていた。


シンが語ったのはシン自身の過去とカレンとの出会いだった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


昔、シンは一匹でいろんな地を巡り歩く旅をしていたそうだ。


旅の途中魔物に襲われている村があったので助けたそうだ。すると、その村からとても感謝され大量の貢ぎ物を貰ったのだ。気分がよくなったのでその村の近くに住み、何かあるたびに村を助けたそうだ。

最後にシンが村を助けたとき、村にはもう献上できるほどの者が残ってなかったらしい。


どうしようかと話し合っていた村人達に一つの報告が入った。いわく、その時出産された子が忌子とされる緋色の目を持って生まれてしまった。

緋色の目を持つ者は、必ず一つの異能を持っている。その異能のせいで人間扱いされないことから忌子といわれている。


村では忌子はすぐ殺されるのが一般的だが何もなかった村は、生まれてきた子を捧げものにしようということでまとまった。赤子を持ってきた村人をみたシンは激怒したらしい。

本人はその時村の現状を全く分かっておらず、同族の赤子を差し出したことに怒りを覚えたそうだ。


しかし、捧げられたのなら受け取らないわけにもいかず、その赤子を引き取り育てようと決心したらしい。そのまま故郷の森に戻ったシンは赤子をカレンと名付け、今もこうして成長を見守っているということだ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

『カレンがここにいるのはこういうことがあったからだ』


言い切ったシンはカレンの様子を見ているようだ。カレンはしばらくボーっとしていると


「そうだったのね!」


本人は何かを納得していた。


「過去にとらわれてもしょうがないものね」


その様子を見たシンさんがため息をつく。表情はどこか柔らかいものだった。


『はぁ。伝えるかどうか迷っていた我が馬鹿みたいではないか』


「何か迷うことがあったの?」


カレンはきょとんとしている。これにはシンもたまらずに笑い出した。見ているだけだった僕も何となくシンの気持ちはわかる。シンはカレンのことを娘のようにかわいがっている。この話を聞いたカレンが、帰りたいなどと言い出さないか不安だったのだろう。


「シンさん。その村って今どうなっているのですか?」


気になったので小声でシンさんに問いかける。


『わからん。魔物以外はかなりいい立地にあったからまだ残ってるかもしれないぞ』


この森からでたらカレンを連れてその村に行こうかな、などと考えてると一つ疑問が浮かび上がる。


「カレン、何か特別な力を持っているってシンさんが言っていたけど心当たりってある?」


するとカレンは少し考えるそぶりを見せて。


「たぶん、みんなと話せるって力だと思う」


「みんなって誰?」


「魔物のみんなだよ。さっきの「沈静花」の場所を教えてくれたのも皆なんだよ」


聞くとカレンは魔物から無条件で一定の信用を得ることができるらしい。シンさんもカレンに親しげにしてるしそういうことなんだろう。


『それだけじゃないぞ』


僕も納得しているとシンさんが口をはさんできた。


『カレンの力の真骨頂は彼女の指示で動いている魔物は強化されるのだよ。強化される条件はまだあまり分かってないが、彼女と一緒にいると2、3倍の力がだせるのだ

。もっともカレンもまだ使いこなせてないみたいでどうすれば強化されるかは不明のままだ』


「気にしたら負けよ」


カレンがそう言い放つをシンさんは若干呆れ気味で


『我としては使いこなしてもらった方がいいと前から言ってるのだが...。』


シンさんもあんまり強く言えないみたいだ。助けてほしそうな視線を送ってくる。ちょっとかわいい。


「そうだ。カレン、僕と勝負しない? どっちが先に力を使いこなせるかっていう。」


それを聞くとカレンは何かを考えて、


「いいわよ。その勝負受けてあげる」


「うん。お互い頑張ろうね」


シンさんが内心でガッツポーズをとっている気がする。顔がめっちゃ嬉しそう。娘の成長を喜ぶ親みたいだな。


「明日から早速練習ね」


カレンはかなり張り切っている。そんな様子を見るとこっちも負けたく無くなってくる。俄然やる気がでてきた。


こうして森での生活は始まったのだ。






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