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罵られ捨てられた少年と魔物使いの少女  作者: 儚月
第一章 少年の出会い
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第三話 魔法の練習

『まず魔法を使うのに一番重要なものは何だと思う」


「えと、すみません分かりません。」


『まず覚えなければいけないのが魔力をコントロールすることである。』


「コントロール?」


『そう、コントロールだ。どんな優れた物を持っていてもそれを使いこなせなければ意味がない。お前の魔力は量こそ多いが全く使える状態になってない』


「僕の中にある魔力の量は多いんですよね」


『ああ。我の見立てではあの恐ろしい魔王と同等だろう。もっとも魔王は実際に見たことはないが、聞いた話だとお前と同じくらいだろう』


「そんなに多いですか!?」


僕は驚いてしまった。魔王とは今いる魔物の中で一番強い魔物の名称である。今代の魔王は類を見ないほど強く、それと同等の魔力量など到底想像できないものであったからだ。


「そうだと言ったぞ。ごちゃごちゃ言ってないで練習を始めよう。まずは見ておれ』


そう言ったシンの周りにうっすらとした魔力弾みたいなのが一つ、また一つと増えていき合計十個になった時それは止まった。


「それは魔力弾ですか?」


『当たらずとも遠からずだな。威力は全くないがよい練習になるのだよ』


シンは周りの弾を自由自在に動かして見せた。球はそれぞれ違う軌道を描いて動いたり、隊列を組んで動いたりしていた。一通り動かした後、シンが手を振ると浮かんでいた球は消え去った。


『簡単そうに見えるが複数個の同時操作はかなり難易度が高いんだ』


「えと、僕でもできますか?」


『一個なら十分にできるだろう。とりあえずやってみなさい。球がそこに浮かんでいるとイメージするといいぞ』


「分かりました。あれ?うまく球の形にならない」


頭に手に持てるぐらいのボールをイメージしてみると魔力は出ている気がするのだがうまく形にならない。


『魔力を出すことはできているからもっとしっかりとした球を思い浮かべてやるのだ』


球がそこにある。球がそこにある。球がそこにある。そう思い浮かべると少し形が整ってきた。それから30秒ぐらいで魔力は球状になった。


「やった!」


そう言うと集中が解けてしまい魔力が崩れ落ちてしまった。


「ああ...。」


『うむ。しっかりとした球になっていたから次はそれを維持するように心掛けなさい。』


そう言われ維持できるように心がけてもうまくいかず時間ばかり過ぎていった。維持しようと頑張ると球の形が少し歪み、歪みを直そうと意識すると直ったあと維持できなくなる。そんな事を何十回も続けていたら少しコツを掴めた気がする。


「むむむ...。」


やっとのことで維持できた球はこぶし大ぐらいの大きさで綺麗な球状だった。


『こんどはそれを維持したまま移動することをイメージしてみよ』


シンに言われてやってみるがうまくいかない。球がスライムみたいになり形を保ったまま移動できない。結局しっかりとした移動をできずに魔力の球は崩れ落ちてしまった。


『まぁ、最初はそんなもんだろう。これから毎日やってみるといい、意識しなくてもできるようになったら属性魔法を教えてやろう』



今日はこれでおしまいらしい。とても疲れたが、いままでとは全く違う魔法がとても楽しい。早くほかの魔法も教えてほしいので毎日頑張ろうと決心し、近くにあった木に腰かけてどうすれば上手くいくかを考えているとカレンが歩いてきた。


「おつかれ、どうだった?」


「まだ、全然できなかったよ。あれ? その手に持ってのって花飾り?」


そこでカレンが手に花飾りを持っていることに気づいた。村では見なかった青色の綺麗な花で編まれている。


「どう? 綺麗でしょ。私が作ったんんだ。」


「カレンが? とっても上手だよ」


「えへへ、ありがとう。これはレイにあげるわ。」


「いいのかい?」


「もちろんよ」


そう言ってカレンが僕の首に花飾りをかけてくれた。不思議と気持ちが少し落ち着いたような気がする。


「その花は「沈静花」と言って集中したいときに粉にして飲むものらしいよ。魔法はずっと集中しなきゃいけないってシンガ教えてくれたから取って来たんだ」


「もしかして僕のために取ってきてくれたの?」


そう聞くとカレンは自慢そうな顔をして、


「そうよ。この後、森の外の話を聞かせてよね。」


「ありがとう。僕も森以外の村の外に出たことないからあんまり話せないと思うよ」


「そんなことないわよ。ほら、そろそろお昼よ、食べながら話しましょう」


木の実だけだった朝と違い今回は肉がある。村では肉は貴重品だったのでめったに食べれなかったから、食べることができてうれしかった。昼飯を食べながら僕は村のことについて話した。いつも畑の手伝いをするか、森で魔力弾を打つ、代り映えのない日常だったが年に一回の祭りは楽しかった。村の恵みを祝い朝まで続く収穫祭は村一番の楽しみだった。一通りカレンに話し終えた後、僕はカレンに質問していた。


「カレンはどこの村から来たんだい?」


そう聞くとカレンの肩がビクリと跳ね、視線が宙を泳ぎ始める。明らかに何かあるようだ。


「えっと、その、私は...。」


カレンが目に見えてうろたえてしまう。そこに狼のシンさんがもどってきた。






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