プロローグ
初めての投稿です。誤字、脱字、分かりにくい表現などがありましたら、感想などでお知らせください。
6/4 プロローグを大幅に変更しました。話は今までと変わらないですが、内容が少し変わっています。別に読まなくて問題はないです。
とある辺境にある小さな村の一角に人が集まっていた。人々の中心には小さな少年が呆然と座り込んでいる。
「化け物!」
そんな罵声が村の者の口々から吐かれ憎悪を伴って少年へと襲い掛かる。少年は潤んだ目で周りを見渡しているが誰も助けようとはしなかった。
そんな中、一人の男が少年へと近づいてあたりを見返す、
「この子が何をしたっていうんだ!?」
そう叫んだのは少年の父親だった。その憤怒の表情に一瞬皆が気圧される。その中で一番早く立ち直った長老が声を上げる。
「ええい、お主も見たであろう! その子の力を。あれは人間ではない、そんな者を村においておけん!」
その言葉で父も押し黙ってしまう。
少年の力、彼もそれを間近で見ていたのある。村が魔物に襲撃された。このこと自体は2か月に一回ぐらいの頻度でおきる普通のこと。だが、そこに居合わせた少年は魔法を使って撃退したのである。それも、一撃で。
人々は化け物だと罵り、出てけと追い立てる。情報がほとんど入らない辺境の村ではそれで迫害の理由に足るものだった。
「ですが長老! それでは、あまりにもあの子がかわいそうです!」
必死に訴えかける父親の声を聞いても村人たちの目つきは変わらない。
「悪魔の子をこの村に置いて行く意味はない! 今すぐ出て行け!」
そう言った長老に続くように、周りの者が少年を追い立てる。
結局、父親は村の決定に逆らうことができず、彼の子は村を追放されてしまった。
「レイ...。」
そうつぶやいた彼は、その場に崩れ落ちたのだった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
少年は必死に森の中を走っていった。
意味もなく時間が過ぎ、もう何日たったかわからなくなっていく。
森の中はどこも似たような景色で帰り道が分からなくなってしまっている。
「もっとみんなと一緒にいたかったなぁ」
空腹と渇きで倒れ、もう死を覚悟し、少年は静かに目を閉じた。
薄れる意識の中、少年はこちらに近づいてくる足音を聞き取った気がした。
そして、
「あなたは誰?」
そんな声が近くで聞こえたのだった。