4話 どうやら融合スキルやばいらしい
4話目です。
マイペース投稿ですが気長に待っていただけると嬉しいです。
朝練という名の地獄だった……。
筋骨隆々の父さんからして普通のトレーニングとは違うとは思ってはいた。父さんはガルムの騎士団長をしている。この街の騎士団は魔物の討伐から街の警備まで幅広く活躍している。
だが、まさか俺が想像してたよりもハードなトレーニングをしているとは……。
まだ薄暗い中、街を出て1km離れたディール森林へ入っていく。そのディール森林にはもちろん魔物や盗賊も出るため父さんは両刃の大剣を装備し、俺も父さんから貰ったショートソードと剥ぎ取り用ナイフを貰った。
森の広さ約10k㎡程らしいが森にしてはかなり広い。ディール森林はダンジョンのように表層・深層に分かれており深層にはワイバーンやワーウルフ等の上級魔物が多く生息し、表層には主にゴブリンやコボルト等、下級魔物が生息している。
どんな魔物にも体内に魔石がある。魔石は様々な用途がありこの世界では主に魔道具の燃料として使用されることが多い。だが、ゴブリン等の下級の魔物から取れる魔石は小さい為、ほとんど値段にならないような物ばかりだ。
そんなディール森林に毎朝入り、父さんは森の表層に生息している下級魔物狩りをしてトレーニングしている。
ゴブリンは個の強さは大したことはない。今の俺でもゴブリン1匹なら無傷で10分も掛からず倒せるだろう。
だが、群れになれば話は別だ。ゴブリンは主に5~7匹程で連携しながら行動している。
俺一人なら確実に殺されるだろう……。
そんなゴブリンの群れを父さんは1匹残らず殲滅しながら森を進む。1つの群れを殲滅するのに5分程度、父さんは大剣を振り回しているにもかかわらず息切れ一つしていない。
『父さんが向かう先にいる魔物は死ぬ!』
そんな事を思いながら森を歩く。
今日から俺もトレーニングに加わった為、父さんはわざとペースを落としてくれているのだろう。時々休憩しながら俺は父さんが倒したゴブリンから魔石と時々持っている猛毒袋だけを回収して父さんの後を追う。
3時間程、森の中でゴブリン狩りをした。今日はゴブリンしか出なかったが、父さんの討伐数は軽く50~60体は倒している。逆に俺は満身創痍の状態で家へ戻る。
家へ帰ると母さんが朝飯を作って待っててくれていた。
「あら、今朝はソルも居なかったけど…。」
「今日から父さんと一緒に森に連れて行ってもらうことになったんだ! 3ヶ月後には学園だからなるべく今のうちから力をつけたいと思って。」
「それは良いことだけど、くれぐれも無茶だけはしないでね!」
「大丈夫だ!俺もそばにいるからな!」
父さんは自信満々の様子でそう言った。
「あなたが居るからこそ危ないんじゃないの!深層は本当に危ないから行かないようにしてね!」
「わかってるって!心配性だなキャメルは……。」
「そりゃ心配にもなりますよ!まだ5歳で森なんて……。まぁ~辛気臭い話はここまでにしてご飯にしましょ!」
母さんが作った焼き立てのパンにふわふわのオムレツと野菜が沢山入ったコンソメスープが並んでいる。俺の手は次々パンをちぎって口へ運ぶ。外はカリカリ、中はフワフワのパンはそのまま食べても何十個も食べられそうだ。
「いつも母さんの料理はおいしいよ。」
「そう言ってもらえると嬉しいわ。」
母さんは少し照れながら優しくそう言った。
「ソル、明日からは森の魔物狩りをした後に剣術とか教えていくからな!」
「わかったよ、父さん。今日はこの後俺一人でトレーニングしておくよ。」
「明日からのトレーニングに影響出るようなハードワークはやめろよ!」
俺は頷くとコンソメスープをすすりながら体の痛んでいる個所をさすった。
朝食が終わり、俺は自室のベットに座った。
「さて、融合のスキル確認だ。2つの以上の物を新しい1つの物へ変えられるらしいけど、今の俺だとどんな感じで融合出来るのだろうか……。」
俺はバックからゴブリンの魔石5個を取り出す。父さんから今日の成果として小さめの魔石5個を貰った。実際俺が倒したゴブリンなんて3体だけだ。
「とりあえず、この魔石で試してみるか。」
頭の中で【融合】と唱え魔石に手をかざしてみる。
すると___。
5つの小さな魔石が1つの魔石に変化した。大きさも5つ合わせた程の大きさになっていた。
「とりあえず発動は問題なさそうだが、これって結構やばいスキルだったんじゃないかな……。」
実際ゴブリンなど下級魔物の魔石は値段にならないものがほとんどだ。だが、それが全部合わさって1つの魔石に変化出来たら値段は一気に跳ね上がる。理由としては使用用途が増えることが原因だ。
ゴブリンの魔石は小さすぎる為、使用できる魔道具が少ない。基本的に大きい魔道具を使用するにはそれだけ大きい魔石が必要になる。その為、中級魔物の討伐依頼はかなり多く出回っているようだ。
そう思いながらベットに寝転び、出来た魔石を手に取り眺める。
「でも、まだこれは隠しておいた方がいいな……。見つかったらどこで取ってきたか問い詰められるからな……。」
そう独り言を良い、魔石を自分のバックにしまい体を少し休める為、短い眠りについた。
学園までもう少しかかります。
誤字脱字等ありましたら、ご指摘お願いいたします。