2話 どうやら転生完了したようだ
第2話です。
あれからどれくらい時間がたっただろうか……。
俺は気が付くと周りを木の柵に囲まれたベットの上で目が覚めた。
隣には馬のぬいぐるみが置いてある。
『そうか…… 本当に転生しちゃったか……。』
心の中でそう思った。 あの女性の声が言っていたように俺は赤ちゃんになってしまったらしい。
小さくなった自分の手で自分の頭や体を触って自分の状態を確認してみる。
鏡などが無い為、髪の色や目の色等詳しくはわからないが明らかに幼くなっているのは確実だ。
俺が自分の状況を確認していると___。
「あら、目を覚ましたのね。 おはよう。」
突然、女性の声が聞こえてきた。
声の聞こえる方を見てみると、少しウェーブのかかった茶髪ロングヘアーの優しそうな女性がこちらを見ている。年齢は20代後半位だろう。
「元気そうで良かった。 私の可愛い息子だもの元気なのは当然でしょうけど。」
女性は独り言を満足そうに話している。
女性はどうやら俺の母親らしい……。母親が茶髪ということは俺も茶髪なのか?等自分の容姿について再度考察していると……。
「おーい! キャメル、俺の息子は元気か~」
突然、室内に響く大声に俺はビックリして小刻みに震えながら近くにあった馬のぬいぐるみを引き寄せる。
「ライル! なんて大声を出すの! ビックリしちゃってるじゃない!!」
その言葉から母親の怒りの度合がわかるような声が聞こえた。
「すまんすまん。 息子が生まれたから居てもたっても居られなかったんだよ……。」
「なら今度からは突然大声を出すのはやめて!」
「わかったって。次からは気を付けるよ。」
母親と父親と思われる男性の話が終わり2人ともこちらへ近づいてきた。父親と思われる男性は、体はがっしりしており筋骨隆々という言葉がピッタリくる体系だ。髪は黒の短髪で顔には無数の傷がある。年齢は30代前半位だろうか。
「この子が俺の息子か……。」
父親は俺の体を持ち上げて頬擦りしてきた。父親の目にはうっすら涙が見える。
「それであなた、大切な息子の名前は決まったの?」
母親がそう尋ねる。
「あぁ、 昨日夜中まで考えたからな。 この子の名前はソルだ。」
「あなたにしてはいい名前を考えましたね。」
「色々悩んだからな……。 お前は今日からソル・ヴェルドだ!」
父親は俺の体を両手で持ち上げそう言った。
こうして俺(藍沢 渡)はライル・ヴェルドとキャメル・ヴェルドの息子として転生を果たしたのだった。
そして、5年の歳月が流れた_____。