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ろく
「なあマエダ」
「なんだよササキ」
「とうとうバレンタインだな」
「そうだな」
「テンション上げてこーぜー!!」
「貰えなかった時の喪失感、すごそうだな」
「いやいや、こういうのは気分を楽しむもんなんだよ!」
「お前にしてはサッパリした考え方だな。もっとネチネチ言ってくるかと思ってた」
「フッフッフ!俺も大人になっちゃったのかなぁ〜」
「ああ、そうだな。お前が右手に紙袋持ってなかったら、俺もそう思ったよ」
「いやいや、紙袋だし」
「貰うきまんまんかよ」
「いやいや、紙袋だし」
「それ、貰えなかった時、もっと辛いんじゃねぇの?」
「いやいや、紙袋だし」
「そうだな」
「それよりなぁ!マエダァァァ!!」
「なんだよ」
「お前の、そのダンボールはなんだよ!」
「ん?これ?」
「そうだよ」
「なんか、下駄箱の前にあった」
「!?」
「ほら、”マエダくんへ”って書いてあるだろ?」
「包装物が溢れそうだな」
「一個いる?」
「え!?くれるの?じゃあ、チョコットだけ」
「え?冗談だけど…本気にした?」
「ダジャレ言いたかっただけだけど!!!」
〜終わり〜