表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/16

Heroine


「なあ、お前ら、俺たちには何か大事なものが欠けてるとは思わないか?」


 俺はお気に入りの机の上にだらしなく足を乗せたまま、バーツとクマに問いかけた。


「やっと気がついたか。俺様は前々から気づいてたぜ。」


「そらなんや?ワイはよう分からん。」


「決まってんだろ? やる気と勤勉性と覇気だ! おめえらこの半年の間、ずーーーっとだらけて過ごしてたじゃねぇか! 」


「不正解。そういうのは必要な時だけあればいいと思います。」


「そや、お前はホンマ空気読めんやっちゃなー。」


「じゃあ、なんだってんだよ! 」


「俺たちにはよう、やる気の源、ヒロイン成分ってのが欠けてんだよ。いつまでたっても男3人、うっとおしいことこの上ないだろ? 」


「あーそやな。やっぱカワイコちゃんは必要やなー。ええとこ見せたるわい! って気持ちになるもんなー。」


「なんだ、女のことか。もしかしてお前らってこの街で半年も過ごしてんのに女の一人もいなかったの? うわぁだっせーなー。」


 バーツが勝ち誇ったように言う。俺はその言葉に驚き、姿勢を改める。


「え? バーツ君? その言い方だとまるで君には彼女がいるかのように聞こえるけど? 」


「あったりめぇだろ? 半年も暇があって金だってそこそこ持ってんだ。女の一人や二人こさえて当然じゃねーか。おめえらみたいに暑いだなんだってここに引きこもってからそうなんだよ! 」


「クマ君。これはよくないよね。」


「あーようないな。」


「何がだよ。何の文句があるってんだよ! 」


「普通さ、そういうことはみんなで分け合うだろ? お前だけ彼女できて知らんぷりとかありえないだろ? 」


「そやで、友達紹介するとかそんくらいのことはするやろ。」


「だーかーらー、俺様は何度も誘ったんだぜ? なのに暑いだのめんどくさいだの言ってついてこなかったのはおめえらじゃねーか! 」


「もう、今は暑くないだろ? よし、決まりだ、今夜にもセッティングしろ。」


「そやで、善は急げいうしな。」


「いきなりなんて無理に決まってんだろ? どーしてそーやってワガママばっか言うのかなぁ。」


「これは命令だ。バーツ、お前は人に隠れて女とイチャイチャしてた大罪人だ! いやならマーベルに言って、拷問にでもかけてもらうが? 」


「あーもう、わかったよ、なんとかすりゃいいんだろ。今から段どってくるから、ちょっと待っとけ! 」


 バーツは不機嫌な足取りでドアをバタンと閉めて出て行った。


「たのしみだねぇクマ君。」


「そうやなぁだんさん。」


 俺たちふたりはポワァっとした気持ちでバーツの帰りを待った。



 ――その夜。俺たちは酒場にいた。


「なぁ、クマ。」


「なんやだんさん。」


 俺たちは小声でささやきあう。


「バーツってこういう趣味だったのな。」


「そやな。実に意外性のある男や。」


 目の前に並ぶクリーチャー。どれもこれもまさに顔面凶器といっていい。


「あら、きみたちっておとなしいのね。バーツのお友達って言うからもっと明るい人かと思ったのにぃ。もう、プンプンなんだからね。」


 クリーチャーその一、小型フランケンはそう言うとバーツに枝垂れかかる。


「ああ、こいつら女に慣れてねーんだ。緊張してんだよ、な? 」


「そうなんだー、まあ、私たちってー、この辺じゃ美人で通ってるからー、無理もない感じぃ? 」


 クリーチャーその2、三つ編みのヴァンパイアも同じくバーツに寄りかかる。


「そんなに緊張しなくてもいいのよ? お姉さんが優しくしてア・ゲ・ル。」


 クリーチャーその3、でっぷり太った狼男はそう言ってウインクする。彼女たちに囲まれ、満足そうにしているバーツはまさに怪物ランドのプリンスだった。


「ご、ごめん、俺、なんか緊張しすぎちゃって、気分悪くなってきた。先帰るね。」


 俺は脱出のスイッチを押す。


「あ、悪いなぁ、ワイも急に腹が痛なってん。先帰ってもええかな?」


 俺とクマは逃げるようにその場を後にした。バーツはしょうがねぇなあと言った顔をして手を振った。


「あいつ、後で絶対殺す! 」


「当たり前や! あんなお化け屋敷に連れて行きやがって! 」


 ぶつぶつ言いながら俺たちは家路についた。その時、6人の覆面男が俺たちを取り囲む。


「なんや自分ら。ワイらになんか用でもあるんか? 」


「アシュレイ王子だな。その命貰い受ける。」


 覆面越しのくぐもった声で言うと、彼らは剣を抜いた。すでに夜も遅くあたりに人影はない。


「俺、いま機嫌悪いんだよねー。悪いけど出直してくんない? 」


 そう言いながら俺は落ちている石を拾う。


「問答無用! 」


 彼らは一斉に切り込んでくる。


「クマ! 殺すなよ。」


「はいな。」


 俺は正面の男の顔に石をぶち当て、怯んだ隙にその男の後ろに周り、首を絞めて落とす。落ちた男を次に男に投げつけ、抱き合っている隙に顎に向かってフックを決める。ヘロヘロと腰砕けになった男に止めの蹴りを顔面に入れた。

 後ろの男が袈裟斬りに斬って来るのを得意の見切りで躱すと、そのまま身を寄せ空振りでがら空きになったこめかみあたりにに肘を振り抜いた。


 振り返ると残りの3人はクマによって倒されている。どれもワンパンで終了したようだ。


「クマ、お前はこいつらを確保しといてくれ。舌を噛まないように猿轡でもはめてな。俺は警備隊の連中を呼んでくる。」


「了解や。」


 副官のアンドレが当直だったので事情を話し、全員捕縛してもらう。状況説明のため、明日来て欲しいと言われたので頷き、そのままその日はアジトに帰る。まったく、散々な一日だ。


 翌日、呼び出しを受けた俺は警備本部へと向かう。通されたのはマーベルの部屋だ。


「昨日は大変だったみたいだね。ケガはないのかい? 今お茶を入れるからまあ、座って待っててくれ。」


 マーベルは心配そうな顔でそう言ってくれる。彼女はアンドレ以外の味方には優しい。


「で、捕まえた奴らだけどね、あれはどうもフィンリー商会の手のものらしい。」


 テーブルにお茶を並べながらマーベルはそう呟いた。


「よくこの短時間で口を割らせたな。アサシンなんてものは口を割らないってのが身上なんじゃないのか? 」


「あっはっは。アタシはこういうのが得意でね。ちょちょいと痛みと脅しを交えたら簡単に吐いたさ。」


「まあ、何をしたかは聞かないでおくよ。」


「ああ、そのほうがいいね。」


「で、そのフィンリー商会ってのは何者なんだ? 」


 彼女の話によればそのフィンリー商会はエミリウス王国でも一二を争う大きな商会で表向きはなんでも扱う総合商会だが裏では政治がらみの動きをしていて、情報収集や誘拐、暗殺なんてのまでやってるらしい。マーベルは何度も逮捕しようとしたがその都度、有力な貴族から圧力がかかったのだという。


 まあ、流れ的にはロマーニャ公爵の依頼を受けたフィンリー商会が俺にアサシンを仕向けたって訳だろう。


「で、アンタはどうするんだい? 」


「決まってんだろ? 悪い奴は懲らしめないとな。」


「そう言うと思ったさ。奴は王都オルランスに居るよ。偉そうにでかい建物を構えてるからすぐに分かるさ。こいつは餞別だ、持っていくといい。」


そう言って手渡されたのは、大金貨10枚と一通の書状だった。書状には俺の身元引き受け人としてマーベルの名前が書いてある。


「そいつは王都で尋問を受けたときに見せるといい。」


「いろいろ済まないな。感謝する。」


「アンタには世話になったからね。ここに来ることがあったら顔を出しとくれ。」


「ああ、そうさせてもらう。」



 俺は賞金稼ぎギルドに戻るとエドワードを呼び出し、事情を説明した。


「ここも寂しくなりますな。」


「あんたはマーベルに協力してやってくれ。あいつは口は悪いが根は善良だ。」


「分かっておりますとも。」


「それと俺に対する支払いも今日まででいい。今まで世話になったな。」


「こちらこそいろいろと配慮いただきました。」


「では、また会う日まで達者でな。」


「はい、王子こそお体にはお気を付けください。」


 翌日、俺はバーツとクマを連れ、馬車に乗り込む。怪物三人娘が見送りに来ていたが俺は見なかったことにした。



 レイラは焦っていた。手紙をもらってから半年、王子からは何の連絡もなく、その居所もわからない。任務であった山賊退治はとうに完了していた。

 手持ち無沙汰になると彼女は自分の思考がマイナスに働いてしまう事を知っている。それが嫌で来る日も来る日もスフォルツァの私兵に訓練を施した。


「なぜこんな事ができないのだ! 貴様ら、そんな事では戦場で生き残れないぞ!」


「もっと腰を入れろ! そんなヘロヘロの振りじゃ相手の鎧に弾かれる! 」


 兵たちは厳しいシゴキに喘いでいる。


「隊長、私が言うのもなんですが、ちと厳しすぎるのではないでしょうか? 」


 見かねたロベルトが注意を促す。


「私たちはもっと厳しい訓練を耐えてきたはずだ。このままでは領内の警護もままならん。」


「しかし、親衛隊と彼らは違います。彼らはここの住民なのですよ。あまり無理をさせては男爵の評判に関わるのでは? 」


「む。それもそうか、ではあとはロベルト、お前に任せる。」


 そう言って彼女はその場を去っていった。


 やれやれと一つため息をついたロベルトは、スフォルツア兵の訓練を再開させた。

 彼女の鬱々とした気持ちの原因が分かってるだけに強いことはいえないロベルトだった。


 ……王子も近況連絡ぐらいすればいいのに。まったく罪なお人だ。


 レイラは風呂で汗を流すと自分の部屋に閉じこもる。

 何遍も読み返した手紙はしわくちゃで原型を留めていなかったが今日もまたその手紙を読み返す。彼は今どこで何をしているんだろう。まさか私の知らない女と……いや、そんなことあるはずはない。彼はきっと迎えに来てくれる。大きな馬車に乗って。

 そして「待たせたね。あの時の約束を今こそ果たそうか。」と微笑んでくれるはずだ。


 彼女の焦りの原因の一つに年齢があった。今彼女は24歳。年が開ければ25だ。若い女として通用するのはせいぜい27ぐらいまでだろう。そこまであと3年しか残されていない。ただでさえ王子より2つも年が上なのだ。さすがにこれ以上のハンデは背負いたくない。


 そんな中いつもの通り彼女の中の闇の声が囁きかける。

 いつまで待っても王子はこないさ。アンタも分かっているんだろう? あれだけのいい男どんな女だってほっとかないさ。今頃はアンタとちがって若い可憐な女と慎ましく暮らしてるはずさ。


 そんなわけない。彼は私だけのものだ!


 アンタはこんな北のハズレで何をしてる? あの王子を抱きしめてやれるわけでも世話を焼いてやれるわけでもないんだ。ここでその手紙を抱きしめながら老いていくのがアンタの運命なんだよ。

 そもそもアンタはあの日に女を捨てたんじゃないのかい?だったらなんの文句もないだろう。アンタが望んだ未来の結果がこれさ。

 アンタが恋焦がれる王子様は若くて可憐な女と毎日抱き合ってんのさ。アンタの立ち入る余地なんて既にないんだ。何もかも判っていることじゃないか。


 ちがう、彼は私だけを愛してくれるはずだ。そんなことするはずがない!


 違わないさ。アンタがあの王子に会ったとき、となりには可憐な女が付き添ってんのさ。幸せそうにね。そうなったらアンタはどうすんのさ。道化師もいいとこだろ?


 そんな女、殺してやる。そう、邪魔な女は殺せばいい。そうすれば彼も目を覚ますはず。彼を本当に愛しているのが私だと分かってくれるはず。


 彼女は凶暴な笑みを浮かべると胸のペンダントをまさぐった。



そのころバカ3人はエミリウス王国の王都オルランスに向けて馬車を走らせていた。


「なあ、お前らさぁ、御者を代わってやろうとかそういう発想はないわけ? 」


「だって俺、御者とかやったことないし。だいたいそういうのは従者の勤めだろ? 」


 俺は馬車の長椅子に横になったまま答える。


「そやそや、ワイも御者っちゅうんは医者に止められててなぁ。代わってやりたいんは山々なんやけど。」


 クマは反対側の長椅子に横になったまま、鼻くそをほじりながら答える。


「そんなことよりいつになったら着くんだよ。もう2日は移動してるぜ? お前、道とか間違ってるわけじゃねーだろーな。」


「ってことは俺様、2日も御者やってるよな。お前らは2日もその姿勢のまま動いてねーよな大体クマ! 何の病気にかかりゃ御者を医者に止められるんだよ! 」


「んーそうやな。御者やっちゃだめです病や。奇病でな数万人に一人しかかからんらしい。お前が知らんのも無理はないわな。」


「……ふーん。お前らそう言うこと言っちゃうんだ。」


バーツは馬車を止め、腰に佩いた剣をシャラリと抜きながら歩み寄ってくる。


「ば、バーツ君? 落ち着こうよ、暴力じゃ何も解決しないよ? 」


「そ、そうやで、あ、そういえばなーんか体の調子もようなってきたみたいやし、そろそろ代わろか? 御者。」


「今更おせーんだよ! 死ねぇ!! 」


 興奮して暴れるバーツをなんとかなだめた俺たちは、交代で御者を努め、王都へ向かう。その日は適当な場所を見つけ、焚き火を起こして野営した。


「しっかし半年前とは大違いだよなぁ。」


 バーツがしみじみと語る。


「ああ、あん時はサバイバルだったからな。」


「そやなぁ。今回は金も仰山あるし、そう考えりゃ贅沢な旅やのう。」


 ヴァランで買い込んだ携帯食料は高級な物で非常にうまい。そのまま食べてもいいし、鍋の湯で溶かせば粥にもなる。持ち物が塩しかなかったあの頃が夢のようだ。


「おい、ありゃなんだ? こんな時間に馬車って走るもんなのか? 」


 松明を掲げて疾走する馬車が遠くに見える。徒歩の護衛も数人いるようだ。夜に松明を掲げて走る馬車と言うのは結構不気味なものがある。


「どれどれ。クマ、準備しろ、怪しい馬車が近づいてる。」


「なんやいい気持ちで寝るとこやったのに。あ、あれか。ありゃ奴隷商やな。」


「奴隷商? 」


「ああ、そうや。どっかから攫ってきた連中を売りさばいてる悪い奴らや。」


「バーツ、たしかこの国では奴隷は禁止されてたな。」


「ああ、アンドレに聞いた覚えがある。」


「アイツ等は禁止されとんの知ってるから夜に移動するんや。ホンマけった糞悪い連中やで。」


「で、どうすんだ? アンタが決めてくれよ。」


 俺はしばらく考えてこう言った。


「俺たちは正義の味方だからな。ああいう連中は見過ごせん。奴隷商だけ残して護衛は斬り捨てていいぞ。」


「そうこなくっちゃな。クマ、いくぞ! 」


「おう、久々に腕がなるでぇ。きっちりいわしたる! 」


 俺たちは街道の真ん中に出て道を塞ぐ。


「おっと、ここは通さねぇぜ。」


「お前らはここで死ぬことになるんや。今のうちにお祈りでもすませとくんやな。」


 どっちが悪者なのかわからないセリフを言い、奴隷商の一行を止める。


「貴様ら、何者か知らぬが私はヴァレリウス王国のロマーニャ宰相閣下のご依頼により奴隷剣闘士を連れて行くところだ。邪魔だてすれば容赦はせぬぞ! 」


「ほう、あのハムスターのな。だったらなおさら通すわけには行かぬな。バーツ、クマ、やれ! 」


「おうよ! 」


 とバーツが切り込んでいく。あれよという間に3人の護衛が死体に変わった。


「まかしとカンかい! 」


 と、クマもその斧を振るう。何人かの護衛の首が飛び足が飛ぶ。

 あっという間にその場を二人が制圧すると、残された奴隷商は震えながら何か呟いている。


「ロマーニャ宰相閣下のご命令だ、ロマーニャ宰相閣下に逆らえばただでは済まないぞ。」


「そうか、ではその宰相閣下に伝えてくれ。直ぐにお前もそこに送ってやるとな。」


 俺は奴隷商の首をはねた。ここに来て初めて人を斬ったが特段どうこう思うことはなかった。

 奴隷商の持っていた鍵束で馬車の荷台に設置された檻を開けてやる。中には5人の若い男と鎖でぐるぐる巻きにされた人間らしきものがいた。みな一様にうつろな表情をしている。


「お前たちはここで奴隷を卒業する。帰るところがあるものは帰れ。旅費は渡してやる。」


 バーツとクマは満足そうに頷いていた。


 奴隷商の懐には大金貨が20枚ほど入っていた。しかし、誰も動かない。


「どうした。自由の身が嬉しくはないのか?」


 リーダー格だろう若い男が口を開く。


「僕たちは幼い頃に売られ、親の顔すらわからないのです。自由と言われてもどうすればいいのか。」


「ならばお前たちは俺の従者にしてやる。それでいいか? 」


 彼らの顔が輝く。相当不安だったのだろう。


「ぜひ、そうしてください。我々は奴隷剣闘士。戦うことには自信があります。」


「わかった。ではその馬車の檻を外し、それに乗ってついてこい。御者はできるな? 」


「はい。」


「では、お前は俺たちと共にこちらの馬車に乗れ。御者を頼む。それと、そこに転がってる鎖のミノムシはなんだ? 」


「彼女は我々の中でも一番腕の立つ剣闘士です。10年間負けた事がありません。」


「そりゃいいがなぜぐるぐる巻きにされている? 」


「それはその、彼女は奴隷商とそりが合わず、何度も殺そうとしたのです。それでこの様にされています。」


「まあいい、鎖を解いてやれ。その分じゃかなり弱っているだろう。俺の馬車に運んで寝かせてやれ。」


「はい、分かりました。ご主人様。」


「そのご主人様ってのはむず痒いからやめてくれ、俺の名前はアシュレイだ。落ち着いたらそれぞれ自己紹介をしてもらおう。とにかく今夜は休め。腹が減っているなら食物もあるぞ。バーツ、彼らに食物を分けてやれ。」



「ああ、お前らこっちに来い。慌てて食うなよ、のどに詰まらせる。」


 彼らは相当空腹だったようで一気に食い始めた。俺は鎖で巻かれた女が気になったので馬車に戻る。女は相当弱っていて、意識もなさそうだ。とりあえず口元を水で湿らせてやると、うっすら目をあけ、水をせがんだ。少しづつ注意して飲ませると満足したのか眠りについた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ