リンゴの木の下で
アリさんが僕をリンゴ林まで案内してくれた!
「イチゴ。ここから先は、ひとりでも大丈夫だよな?」
「うん。ありがとう、アリさん!」
「じゃあ、俺は仕事に戻るから。リンゴさんによろしくな!」
リンゴ、もう家に帰っているかな?
「うん。アリさん、いつでも家に遊びに来てね!」
アリさんと別れて、僕はリンゴ林の中を進んで行く。
リンゴの木には、たくさんのリンゴが真っ赤に熟していて、甘いにおいがする…。
「お腹空いたし、このリンゴを食べよう!」
僕は、一本のリンゴの木に登り始めた。木の登り方は、リンゴに教わったんだ。
リンゴは、おサルさんみたいに、早く木に登れるんだよ!
僕は、ゆっくりと木に登っていく。
「よし、あとちょっとでリンゴに手が届く!」
僕は、木にしっかりしがみ付きながら、リンゴに片方の手をのばす。
「とれた!…うわあっ!?」
リンゴをもいだその時、僕は気が緩んでしまい、木から身体が離れてしまった!
地面に落ちていく僕…!
「うわぁあああー!!」
僕は、怖くて目をギュッと閉じる…!
僕の身体は、地面に叩きつけられず…。
誰かが、僕を抱き留めてくれたみたいだ!…リンゴかな!?
僕がゆっくりと、目を開ける…。
「あなたは…誰ですか?」
僕を抱きかかえているのは、黒いマントで頭の上から足元まで覆われていて、マントの隙間から見えるのは、赤毛の巻き髪に琥珀のような黄色い瞳…。
その人は、驚いたような顔をしながら僕をずっと見つめている…。
「あの…あなたが、僕を抱き留めてくれたんですね。ありがとうございます!」
その人は、照れくさそうに瞳をそらした…。
そして、僕の身体を優しく降ろすと…なぜか、僕の前にひざまづいた!?
「どうしたんですか…!?」
その人は、一言も言葉を発しない…。
そして、また立ち上がると、僕の身体を抱きかかえて、走り出した!?
「ちょっと!僕をどこへ連れて行く気ですか!?…あなたは、誰なんですか?」
その人は、答えない…!
いったい、僕をどこへ連れて行く気なんだ!?