リンゴ脱出
ベルが戻って来た。
「針金を持ってきたわよ!」
「ベル、ありがとう!」
俺は、ベルから貰った針金で鍵を開ける。
「リンゴさん、すごいですね!本当に開けちゃいましたね…。」
「方法は、企業秘密だけどな!…さて、チュチュ。じゃあ、これでお別れだな…。本当に一緒に来ないのか?」
「はい。リンゴさん、また遊びに来てくださいね!」
「ここには、二度と来ることはないと思うけど…。」
「また、鍵を開けて来てください!」
「お城の鍵は、そう簡単に開けられないよ。まあ、これからそれを無理やりこじ開けて、逃げるんだけどな!チュチュ、元気でな!」
俺は、部屋の鍵も檻の鍵と同じ要領で開けて、部屋から抜け出した!
「ベル、お城の中の構造ってわかるか?」
階段を駆け上がる俺と、俺の隣で飛ぶベル。
「ええ!私は、何度もお城の中にこっそり忍び込んでるから、私がリンゴをお城の外まで案内してあげる!」
「ありがとう、ベル!」
「いいえ!リンゴのためだもの。リンゴは、私を鳥籠から逃がしてくれたんだもの!今度は、私がリンゴを助けてあげる…!」
「ベル!」
ベルの飼い主のおばさんは、ベルがカナリアだと勘違いして、ベルが歌を歌わないから腹を立てて、ベルをいじめていたんだ。俺もあのおばさん、嫌いだったからベルを鳥籠から出してやったんだ!
「お礼は、リンゴのキスでいいよ!」
「わかったよ。俺が無事にお城から出られたら、ベルにキスしてあげるよ!」
「きゃあー!やったー!リンゴ、次の廊下を抜けたら使用人用の裏口があるからそこから、こっそり抜け出しましょう。」
「ああ!…ちょっと待って、ベル!…イチゴのにおいがする!!」
「それは、今日のお城の朝食のデザートに使うイチゴのにおいよ!」
「それもするけど、イチゴのにおいがする!!」
「イチゴちゃんの?」
「あいつも、このお城の中にいるみたいだ!!」
「えええー!?」
「こっちの方から、においがする!!」
俺は、イチゴのにおいのする方へ走る!
「待って、リンゴ!そっちは、警備が厳しいのから行っちゃダメよ!リンゴ―!!」