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泣き濡れる君に手を伸ばせど


静かに泣き続ける少年を青年は抱きしめた。その涙を今は止めるべきではないから。


泣くことができるなら泣けばいい。その心を殺すことをせずに今は想いのまま。


抱きしめた少年の躰は頼りないほどに軽くそして細かった。


この同朋がとても愛しくてそしてあの時何を願ったのかとても青年は興味があった。


青年は目を細めた。君は気づいているのかな?何かを失ったことに。


その問いはいま言うべきではない。けれど何時かこの箱庭が崩れたなら私は君に問いかけよう。


そのときが青年はとても楽しみだった。うっすらと青年は微笑んだ。


泣き濡れていた少年がこちらを見上げた。青年は可愛いなと思いつつ出方を窺った。


そして少年は言の葉を零す。一途なまでに全てを見透かすような漆黒の瞳で了承の言の葉を。



「ごめんなさい。見苦しいところを見せてしまって」



「とても嬉しくてどうしてか涙が零れてしまってびっくりしたでしょう?」



「彼方は知っているんだね。此処が何処なのか、何のために存在しているのかも」



「彼方の問いに答えることで帰れるのなら還りたい。あの場所に僕は……」



少年のその言の葉に青年は微笑んだ。帰りたいと言った少年が何かを悟りかけていることにうっすらと微笑む。


そして少年の掌を掴み言の葉を紡ぐ。はじまる。此処から全てが終わるべくして動いていく。


その予感に青年は嗤った。そう全ては得るために始まりそして終わりへと繋がっていくのだから。



「ねぇ少年。問いかけを私としよう。私の問いに答えたら次は君の番だよ」



それに頷いた少年に青年は歓喜を覚えてまた微笑む。白い部屋の白いテーブルの上に置いてあった白い砂時計の砂が落ちていく。


終わりはまだ来ない。けれど物語は確かに今はじまった。それを知るのは藍の麗人のみ。


けれど確かにその歩みは進んでいく。全ては得てそして失うために。はじまりの問いかけはもうすぐだった。

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