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あまいあまい君の一雫を得れども
少年は白い世界に囚われた。気づけば何処までも白い部屋に閉じ込められていた。
少年の姿は儚げな十六歳くらいの美しい姿だった。何処までもその姿は清らかだった。
少年が窓から外をのぞけば季節が春であることをうかがわせるかのように桜が咲き誇っていた。
どうしてこの部屋に囚われているのかそれを思案しようとするとそれを遮るかのように彼は現れた。
何処までも青い髪までも藍色の憂いげな美しい青年は何もない空間から現れると少年に微笑んだ。
その微笑みに少年は魅入られた。彼は告げる。その吸い付きたくなるような紅の唇ではじまりの言の葉を。
「君もまたこの世界に囚われたのかい?」
「ねぇ問いかけを君に私はしようか?」
「そうしたら君はこの世界から還れるよ」
その言の葉に少年は頷くことはせずただその手を彼に伸ばした。少年の瞳からは何故か涙が溢れていた。
予感がした。此処から全ては始まりそして終わっていくのだと。溢れ落ちた涙を青年はその掌で受け止めた。
静かに泣く少年を青年は愛しく想った。今この世界で共にいられることに青年は感謝した。