眠り姫
眠り姫は王子様のキスで目が覚める。
そう御伽噺ではかいてあるのに、どうして目覚めてくれないの?
僕は、大好きな眠り姫にキスをするけど、全然目覚めてくれない、その様子を周りの侍女達は可愛い可愛い言うけれど、僕にはさっぱり解らない。
「ねぇ、眠り姫は王子様のキスで目が覚めるのでしょ?どうして眠り姫起きてくれないの?」
笑ってばかりいる侍女達に振り返って聞くと、困ったように微笑んでるばかり。
「皇子、それは眠り姫を起せる王子は一人しかいらっしゃらないからですわ」
「ぼくは王子だよ」
「眠り姫自身が産んだ皇子はカウントされないだろう」
低い声の主が僕の頭を押さえつけた。
「ちちうえ・・・ん~離してください!!」
声の主は僕の父上、この国の皇帝、僕の母上をいっつも独り占めする奴!!僕の頭の上から手をどけろ~!!
もぞもぞともがいてると、父上は軽く僕を抱きかかえて、寝ている母上にキスをした。それは御伽噺みたいなキスから母上を食べてしまうような感じになった途端に僕の視界は誰かにさえぎられてしまった。
「ラルク陛下。子供の前で何やってるんですか」
怒った声で父上の名を呼ぶのはルーカス宰相、僕の遊び相手!!
「ルーカス宰相!父上が母上を食べちゃうよ!!」
「あながち間違っていません。皇子」
「早く助けてあげて!!」
僕は必死に暴れながらルーカス宰相に頼むけれど、目を覆う手も僕を捕まえる腕もまったく持って外れない。
「ん。。。」
「起きたか」
父上の声でやっと、開放された僕は母上がまぶたをこすりながら起き上がるのを見た。
また今回も僕が起せなかった。
「母上!!」
「あら、ナーブル。」
僕は父上のお腹を蹴りながら母上に飛びつき抱きついた。
「おはようございます。母上。今日は僕と一緒にお庭にいきましょ!!」
「ふふふ、いいわよ」
「ナーブル・・・ナミ・・・」
父上が不機嫌そうな顔をしてるけど気にしない。
ルーカス宰相は大人気ないって言ってる。そうだよ!父上は大人気ない!!
「大人気ないわよラルク」
ほらね、母上にまで言われてる。
母上は優しく僕の頭を撫でてくれる。
「母上!!僕は絶対大きくなったら母上と結婚します!!」
「駄目だ!」
怒鳴った父上はルーカス宰相に押さえつけられて、子供の言うことだからとか言われてるけど僕は本気だ!
「あらあら、じゃー父上よりも強くならないとね」
おかしそうに母上は笑いながら僕のおでこにキスをしてくれた。
「絶対に母上を幸せにするよ」
「ふふふ、楽しみにしているわ」
「絶対だよ!!僕は父上みたいに母上を眠らせたりしないんだから!!」
「・・・眠らせる?」
「だって母上がお昼過ぎまで眠らされてるのは父上のせいだってお城の皆がいってるよ!!父上が母上に酷い魔法を掛けてるからでしょ!だからね!僕が強くなったら、そんな魔法を解いて母上を幸せにしてあげるの!」
「皇子がんばってください・・・」
なぜか笑いながらルーカス宰相が言ってきた。
侍女達もなぜか目線をそらしてるし、どうしてだろう?
父上は気まずげに視線をそらしてるし。
「そうね、ナーブルは父上と違って優しい子ですものね」
母上を見上げると微笑みながら父上を見つめていた。父上はそんな目で見るなとか言ってるけど、僕は、母上にこっちを見て欲しいのに!
手を出して母上の頬をはさんで僕の方向に向かわせた。
「母上!僕を見て!!」
「ふふ、そうね可愛い私の皇子様」
そう言って母上はまた僕にキスをしてくれた、今度は僕の唇に!!うれしくって照れちゃう
「えへへへ」
「いやーん。かわいい!!!」
そう言って母上は僕をぎゅーっと抱きしめてくれる。
父上が何かごちゃごちゃ言ってるけど気にしない。
姪っ子を見ていて思いついたお話。子供って無邪気なぶん凄いことをいいますよね。
題名は出だしの部分を思いついて。
眠り姫がお昼まで寝ているのは大人の事情です。