INTJの素朴は疑問は腹筋にくる
アマビエが流行った頃の話。
例えるなら、職場体験に来た中学生=ENTPと、その幼稚園にいた幼稚園児=INTJって感じ。
それは、なんとなくのゲーム中の会話。
袖すり合うも他生の縁というやつで、なんかいつの間にか固まったイツメン。
のんびりクエストをこなしながら、装備強化のアイテムを集めたり、ストーリーを進めたり。
いつもヒャッハーして狩りを続けられるほど元気ではないから、予告クエストのスケジュールを確認して、イベントとイベントの合間にデイリーをこなしたり、掘り出し物が売りに出ていないかマーケットを確認したり。
そんなダラダラと小休憩している時に、ふと集めた材料を合成して強化素材を作っていたINTJ-Aが口を開いた。
「今さ〜、アマビエはやってるじゃん」
「ああ、うん」
返事をしたのはENTP。
「あれでさ、アマビエってなんぞやって思って調べたのよ」
知識欲の塊であるINTJは、自分が興味を持ったことで知らないことがあるのが許せないタイプだ。
とにかく潰す、ひたすら潰す。自分の知りたい欲求が満たされるまで、調べて読み耽る。
「そしたらさ、アマビコってのが出てきて」
「なにそれ」
そこで食いつくもう一人のINTJ。
流行ってんなー程度の話と聞き流していたら、自分の知らない事が出てきて途端に興味を持ったようだ。
「アマビエと似たような効能? もってる妖怪?」
「へー」
ここでINTJの霊圧が消える。
調べに行っているのだろう。
INTJは、自分の欲求に正直である。
「見てきた」
おかえりー。
「それでね。アマビエは、疫病が流行るよ〜。自分の絵を描いて知らせてね〜。って書いてあるんだけど、アマビコは、わしを描いて広めてね〜。難を逃れることが出来るぞ〜。ってなってるの」
「そうなんだ」
ここで飛び立つENTP。
やつは、身内には甘く『輪を乱さない』というところに気を遣うタイプである。討論者だけに、ディベートに必要な基礎知識を補うが如く、友人の話の解像度を上げるためググる先生に聞きに行ったのだろう。
同じ紫でも、知識を仕入れる動機がこうも違うのが面白い。INTJは自分本位、ENTPは他人本位というか社交性の延長みたいなものか。
とはいえ、VCは繋がったままなので相手に配慮する気など欠片もないINTJ-Aはマイペースに話を続ける。
「でね。そのアマビコってのは、アマビエより先に登場してるの」
「ほうほう」
「へー」
材料をまとめ終わり、素材になったので一旦倉庫に預け、マーケットを漁り始めるINTJ-A。やつは自由人だ。
「でさ。海外で、キリストの絵の修復頼んだらおばーちゃんが画伯だったの覚えてる?」
「あぁ……」
「うん」
INTJ-Aの話はどこに向かうのか。といった真横へのズレ具合であったが、これは単なる助走である。
「アマビエよりアマビコの方が先ってことわさ。アマビコの絵を書き写して広まっていくうちに、途中で画伯が」
「「ブフゥッ」」
この話は、アマビエとアマビコの絵を見ていないと腹筋にローキックは決まらないので、一度、見比べることをお勧めする。
画伯挟まったかぁ……。
というINTJ-Aの諦観的空想に頷けると思うから。
お時間頂き、ありがとうございました。