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13 アキラ 「嵐の去った後」
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「おはようさん。」
「だから、おはようの時間はとっくに過ぎてんだって。」
体操服姿の省吾が裾の砂を払いながら言った。
丁度、体育の終わりの時間だったらしい。他にも体操服姿の生徒で玄関は賑わっていた。
「んー。」
ロッカーから上履きを取り出す。
「何だよ、うかねぇ顔しやがって。寝不足か?ってそれはねぇわな。」
「おー。」
昨日のは何だったんだろうか。
「…なんだよ。教えろって。」
「いやぁ、俺も分からん。」
「何じゃそら。」
あの後、何かスマホにコールが来て慌ててどっかに行ってしまった。あいつは誰だったんだろうか。同じ学校とかなんか省吾に用があるとか言っていた気がする。
何か名前を言っていたような気がするけど、動揺しすぎて覚えてない。
「あと。」
省吾はそう言った俺の方を見た。
何だかダルマみたいなしかめっ面でこちらを見ていた。
「赤ペンとられた。」
ダルマが一層険しい顔になる。
「尚更わからん。」
「だよな。」