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「あれから綾部先輩とは、何もない?」
帰り道、池田くんは訊ねた。
私は少し考える素振りを見せて答える。
「元々綾部先輩を校内で見る事なかったし、何もないよ」
「そっか。あの、さ、今週の日曜日、なんだけど。俺、部活休みで、もし都合が良かったら……」
「うんっ。遊びに行こうっ」
「やったー!」
嬉しそうに笑う池田くんに、私も笑顔を作る。
日曜日の予定を楽しげに計画する池田くん。
同じ気持ちじゃなくてごめんね。
私から終わりを切り出す勇気は無いの。
未だ綺麗な私だと思われたいからかもしれない。
その時、スカートのポケットにしまっているスマホが、静かに震えた。
あぁ、今すぐ内容を確認したい。
そんなことを彼氏の隣で思う私は、彼女じゃなくなってるね。
ズキズキと、朝の痛みは増していき、熱を込めていく。
これからこの痛みを、抱えて行くのだろう。
「手……繋いでもいい?」
「うん」
そう悟って、差し出された池田くんの手を握った。




