裂けたざんばら
注意事項1
起承転結はありません。
短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。
注意事項2
髪は女の命なんですよ。
私が悪いとも思ってますが、今は何も聞きたくありません。
美容院から帰ってきた彼奴は帰りの挨拶もせずに、大股で部屋まで戻っていった。心配になって後を付けると、剃刀とマッチを取り出して、外へ。
片手に剃刀、片手に束ねた髪、することは一つだった。押し当てる様にして持っていた髪を引き切ると、ゴミでも捨てるように地面に叩き付けた。其れから憎らしい何かにでも擦れる様に、容赦なく足で踏み付ける。その後はマッチに火を付けて、ハラハラと揺らめく其れに火を付けた。
一瞬の凶行、一瞬の蛮行。それ故に彼奴が動き出すまでろくに
「何やって……」
「こんなの私の髪じゃない。切り揃ってない髪なんて私のじゃない。ゴミ以下、ゲロ以下。死ね。死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね」
あの血走った目が、彼奴の狂気を示していた。
美容院に行った。前髪が伸びてきたので、切り落としたいと思っていたのだ。長さは変えず、量も変えず、切り揃った髪こそが私のアイデンティティ。一度梳いて、ザンバラから此処まで戻すのにどれだけかかったか分からない。だから何時もの様に注文を付けた。
「前髪とあと枝毛だけ切って下さい。長さは変えないで」
今日は眠い。朝早くから予定があるから、早起きしていたのだ。そう、ウトウトしていると、先の方から何かが裂けるような独特の感触がした。驚いて目を見開くと、剃刀を持った美容師が容赦なく私の髪を梳いていた。
長く、切り揃った髪。私のアイデンティティ。其れがたった一瞬でザンバラへと変貌していく。
唖然として声が出なかった。絶望に沈んでなんの声も出なかった。気が付いた時にはもう全て裂かれた後だった。
あの時声が出ていたら? 『やめて!!』と声を上げていたら? でも残っているのは裂けたざんばらだけ。過去には戻れず、其れが私の傷口を開く。
私は放心状態のまま会計を済ませた。予定を全てかなぐり捨てて、私は家へと帰ってきた。
今の状態から、決別が必要だ。切り揃える事が必要だ。裂けたざんばらなんて私じゃない。ダカラ容赦なく剃刀を入れる。前後に揺すってぶちりと切り捨てた。
其れでも気は済まなかった。だから足で踏みにじって、マッチで火をつけた。
あとどれだけ年月が過ぎれば、髪は元に戻るんだろう。同じ長さで生えてくれるんだろう。
今は少し、正常じゃないんです。
なんの言葉も聞こえません。
だから何でも許せる方向けです。
あれほどまで切り揃っていた髪が何処にもない。
どこ触っても長さ違い。
そう思うと発狂しそうな程、精神がイカれます。
気分的には、通り魔に目を潰されたレベルです。
何思っても何し出すか分かりません。
自分の髪型に殺意しか湧かない。どうしよう。
また金払って揃えて貰おうかな。
長さも違う。どう足掻いても絶望。
少し落ち着いて来ました。
荒ぶった作者のお目汚しで大変失礼をおかけしてます。
推しキャラみんなザンバラ。お揃いお揃い。
三年経てば元通り。せめて夏場なら。
気が動転して、『おかわり』じゃないコーヒー頼むの辞めろ!!